ARTISTS

マリア・タニグチ

"Untitled", 2016, acrylic on canvas, 274.2 x 182.4 cm

タニグチは、絵画や彫刻、映像、インスタレーションなど多様なメディウムを用いて作品を展開し、社会的・歴史的文脈を踏まえ空間や時間の探求を行なってきた。作家はブリック・ペインティングと呼ばれるレンガの壁を描いたような絵画作品「Untitled」シリーズを2008年から継続して制作している。これらの作品は無数の矩形のセルから構成され、グラファイトで縁取られたセルの内側はグレーや黒色で塗られおり、一つ一つのセルを手作業で仕上げるこの丹念な制作プロセスが、絵画の表面に僅かな変化と複雑なパターンを生み出している。様々なサイズで制作されるブリック・ペインティングの多くは数メートルの規模に及ぶ。作品は建築的要素をはらみ、絵画そのものがモニュメンタルな存在として展示空間にたち現れる。ブリック・ペインティングはまた、タニグチの芸術的実践全体の根幹をなすもので、彫刻やインスタレーションなど他の作品は同ペインティング作品の反射・屈折として制作される。

マリア・タニグチは1981 年ドゥマゲテ(フィリピン)生まれ。2015年にヒューゴ・ボス・アジア・アート賞を受賞し、2009年にはLUX Associate Artistsプログラムに参加した。近年の主な展覧会に、「History of a Vanishing Present: A Prologue」ミステイク・ルーム(ロサンゼルス、2016年)、「Afterwork」パラサイト(香港、2016年)、「Global: New Sensorium」カールスルーエ・メディア芸術センター(カールスルーエ、2016年)、「The Vexed Contemporary」ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート・アンド・デザイン(マニラ、2015年)、第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ、QAGOMA(ブリスベン、2015年)がある。作品はM+(香港)、バーガー・コレクション(香港)、カディスト・アート・ファンデーション(サンフランシスコ/パリ)、QAGOMA(ブリスベン)、K11アート財団(上海)などに収蔵されている。

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