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サーニャ・カンタロフスキー

Sanya Kantarovsky “Paradise”, installation view at Taka Ishii Gallery Tokyo, Jan 24 – Feb 22, 2020. Photo: Kenji Takahashi

サーニャ・カンタロフスキーの作家活動は、時に映像作品と組み合わされるペインティングをはじめ、アニメーション、彫刻、デザイン、展覧会企画など多岐にわたります。ペインティングには想像上の人物たちが登場しますが、彼らの多くは心身ともに苦悩しています。画面という舞台の上で鑑賞者の注目をめぐり、誘引と拒絶が絶えず競い合うかのようです。カンタロフスキーは欲望そのものをどのように描き出せるかを探求し、その欲望は、懇願する子どもたちや、いやらしい目つきをした老人、行くあてのない世界人(コスモポリタン)、飢えた群衆の顔を歪めます。ヒューマニストによるペインティングや風刺画の歴史を参照するカンタロフスキーが描く人物は、描かれたことを誇っているようにも見えますが、同時に舞台に上げられたことを恥じているようでもあり、作家自身の制作活動に対する不安や緊張、迷いをも孕んでいます。カンタロフスキーの人間の感情に対する傾斜はこうした皮肉な自己言及において顕著であり、まるで実体験を忠実に表現することの不毛さを説くかのようです。

カンタロフスキーは、1982年モスクワ生まれ。ニューヨークを拠点に活動。ロードアイランド州プロヴィデンスのロードアイランド・スクール・オブ・デザインでペインティングを学び、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でMFA取得。近年の主な個展としてLuhring Augustine(ニューヨーク、2019年)、クンストハーレ・バーゼル(2018年)、Fondazione Sandretto Re Rebaudengo(トリノ、2017-2018年)が挙げられる。主なグループ展として、バルティック・トリエンナーレ13「GIVE UP THE GHOST」(ビリニュス、2018年)、「The Arcades: Contemporary Art and Walter Benjamin」ジューイッシュ・ミュージアム(ニューヨーク、2017年)、「The Eccentrics」スカルプチャー・センター(ニューヨーク、2016年)、自らキュレーションした「Sputterances」Metro Pictures(ニューヨーク、2017年)などに参加。他の主要な展覧会としては「Happy Soul」 LAXART(ロサンゼルス、2014年)、「You are Not an Evening」 Gesellschaft für Aktuelle Kunst(ブレーメン、2013年)、「What Were You Expecting, Mr. Milquetoast, a Plot?」Badischer Kunstverein(カールスルーエ、2014年)、Ieva Misčeviūtėとのコラボレーション、「Apricot Juice」Studio Voltaire(ロンドン2015年)など。自身の多くの作品を網羅した作品集『No Joke』(2016年)をStudio VoltaireとKoenig Booksより刊行。カンタロフスキーの作品は、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭(ワシントンDC)、ICAボストン、ハマー美術館(ロサンゼルス)、ロサンゼルルス・カウンティー・美術館、テート・モダン(ロンドン)、ホイットニー美術館(ニューヨーク)に収蔵されている。

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