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榎倉 康二

"Place", 1970, gelatin silver print, image size: 28.2 x 42 cm, paper size: 33.3 x 42.1 cm

榎倉康二(1942年−1995年)は東京生まれ。1968年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。榎倉の根底には、 人間の身体と物質とが空間のなかで対峙したときに起こるリアルな感応や干渉、事物と外部空間との相互関係性を、自らの身体を触媒として追求したいという問題意識があった。 1960年代後半に、政治と経済における急激な変化と既存の価値観に対する懐疑が世界各地で起こり、アルテ・ポーヴェラやシュポール/シュルファス、アンチ・フォーム、そして日本ではもの派が戦後美術の大きな動向として表れる中、榎倉は「もの派」の一員として考えられることのある作家であり、60年代末から70年代初めに活動を始めたもの派の作家達との共通した思考を持っているが 、インスタレーション、絵画、写真などの多様なメディアを用いたその活動は「もの派」という文脈だけではとらえきれない広がりを有しており、今なお世界的に高い関心を集めている。

おもな個展として、東京都現代美術館(回顧展、2005年)、「榎倉康二・写真のしごと 1972-1994」 斎藤記念川口現代美術館(1994年)、「近作展14―榎倉康二」 国立国際美術館(大阪、1994年)が挙げられる。また、活動の初期より数多くの国際的な展覧会に出品しており、 1970年には中原佑介が総合コミッショナーを務めた第10回日本国際美術展「人間と物質」(10th Tokyo Biennale: Between Man and Matter)にリチャード・セラ、クリスト、カール・アンドレ、高松次郎らとともに参加。翌1971年、第7回パリ青年ビエンナーレ(The 7th Biennale de Paris)に小清水漸、中平卓馬、吉田克郎とともにアンテルヴェンション(Interventions / 干渉)という部門に参加し、優秀賞(留学賞)を受賞。そのほか、べネチア・ビエンナーレ日本館(1978年、1980年)、「70年代日本の前衛 構想から内なる葛藤へ」 ボローニャ市立近代美術館(1992年、翌年世田谷美術館で帰国展開催)、「もの派‐再考」 国立国際美術館(大阪、2005年)「Re: Quest―Japanese Contemporary Art since the 1970s」 ソウル大学美術館(2013年)、「Prima Materia」 プンタ・デラ・ドガーナ(ヴェネチア、2014年)などが挙げられる。