EXHIBITIONS
山田康平 「風景は別々になり、それでも外へ出る。」
会期: 2026年10月3日(土) – 31日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー 京都
オープニング・レセプション: 10月3日(土)17:00 – 19:00(六本木)
タカ・イシイギャラリー 京都は、10月3日(土)から31日(土)まで、山田康平の個展「風景は別々になり、それでも外へ出る。」を開催いたします。タカ・イシイギャラリー 六本木での個展「green back / front」と同時開催となる本展では、最新の半立体作品約14点を発表いたします。
今年、母が亡くなった。
それから、実家の近くにある、何度も通ったはずの道がまったく違う道に見えるようになった。
もちろん、道そのものは何も変わっていない。
建物も、道幅も、そこにあるものもほとんど同じなのに、自分にとっては以前と同じ風景ではなくなっていた。
いま目の前にあるのは、母がいない風景だ。
でもそこを歩いていると、母が生きていたときのことを思い出す。さらにそこから、もし母がいまも生きていたら、ということまで考える。
同じ場所を見ているはずなのに、そこにはいくつかの風景がある。
最近、それをひとつの風景が持っている、いくつかの「面」のように考えている。
目の前にある風景の裏側に、以前の風景がある。
そのさらに別の面には、実際には存在しなかった、ありえたかもしれない風景がある。
それらは重なっているというより、ひとつのものが別々の方向を向いているような感覚に近い。
コインの表と裏のように、一方を見ているとき、もう一方を見ることはできない。でも、見えていないからといって、なくなっているわけでもない。
見る位置や、思い出すことによって、いままで見えていなかった面がふとこちらを向くことがある。
記憶によって、ひとつだったはずの風景が少しずつ分かれていく。
それをもう一度ひとつに戻したいとは思っていない。
分かれてしまったものを、分かれたまま覚えていること。
いくつもの面を持った風景の中にいて、それでもそこから外へ出ていくこと。
2026年9月 山田康平
本展に出展する半立体作品のシリーズは、当初山田が自身の紙作品を支える外枠としてのフレームのあり方を模索する中で生まれたものでした。切り出された木材を組み合わせ紙と接続することで、ペインティング作品でも探求されていた形態のあり方や、重なりによる奥行きといった概念が三次元的に展開しています。薄く平たいドローイングが画面内の特質に沿って規定された素材を取り込み自立すると同時に、異種の組み合わせであるがゆえの非連続性を包摂し、既存のカテゴリーを越境したハイブリッドなオブジェクトが作り上げられます。その制作過程において他者との協同作業を取り入れることも一つの特徴であり、新たな視点を介入させ、より多層的なものへと発展させる可能性をもたらします。このような多面性を持つ作品群は風景をめぐる山田の個人的な体験とも結びつき、様々な角度からの読み取りを可能にします。会場となる町家建築の歴史が残す痕跡とも相互に干渉しながら、複合的なイメージが広がりを見せます。
山田康平は1997年大阪府生まれ。2020年に武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻を卒業、2022年に京都芸術大学修士課程美術工芸領域油画専攻を修了し、現在は東京を拠点に活動。主な個展に「支える軽さ」隙間(東京、2025年)、「Borderline」Arario Gallery Seoul(ソウル、2025年)、「Strikethrough」タカ・イシイギャラリー(東京、2023年)、「それを隠すように」biscuit gallery(東京、2022年)、「線の入り方」MtK Contemporary Art(京都、2022年)など。主なグループ展として「Brick, Breath, Horizon」Zian Gallery x Lisson Gallery(上海、2025年)、「Fluid in Forms」Arario Gallery Shanghai(上海、2025年)、「Everywhere It Goes」Mai 36 Galerie(チューリッヒ、2024年)、「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」東京都現代美術館(2024年)、「コレクション展示:新収蔵作品紹介」群馬県立近代美術館(2024年)、「Abstraction (re)creation―20 under 40-」Le Consortium(ディジョン、2024年)など。BUG Art Awardファイナリスト(2024年)、CAF賞(2020年)入選。


