EXHIBITIONS

大上巧真 「rubbing-rhizome」

会期: 2026年5月23日(土) – 6月28日(日)
会場: タカ・イシイギャラリー 前橋
オープニング・レセプション: 5⽉23⽇(土)17:00 ‒ 19:00

タカ・イシイギャラリー 前橋は、5月23日(土)から6月28日(日)まで、大上巧真による「rubbing-rhizome」展を開催いたします。同作家にとって初めての個展となる東京オペラシティ アートギャラリーでの展覧会と同時期に行われる本展では、新作のペインティング作品約9点と立体作品約3点を発表いたします。

大上は自身の身体、とりわけ皮膚感覚をもとにした制作を行っています。幼少期から身体感覚に敏感であった大上は、作品を皮膚の延長として捉え、自己の境界線を確かめ再認識しようとする試みを続けています。深部と接しながら身体の外面を覆う一方、常に外界に晒されている器官である皮膚は、内部の体調変化や外部からの刺激を受け、様々な反応が交錯する場でもあります。こうした観点から大上の絵画作品へと目を向けると、下の層を覆うために多用するという赤色が特徴的に見受けられる画面の中で、絵の具の層の重なりは見えるものと見えないものを複雑にレイヤー化させ、様々な深さでの感覚が生まれる皮膚の厚みがそのままペインティングの厚みへと変換されているかのようです。透明度が高くぼかされた部分はぼんやりとした冷温覚として、あるいは細く明確な線はピリピリとした痛覚のようにあらわれ、諸感覚が顕在化するフィールドとしての皮膚に即し、色面が不定形にせめぎ合う絵画が構築されていきます。

皮膚の延長としての作品を自立させることで、大上はそれを「縄張り」や「威嚇」といった生態学的な概念へと結びつけ、個人的、主観的な経験をさらに展開させます。身体感覚を手がかりに運動を痕跡として残した作品を、大上は匂いや分泌物を残して自己のテリトリーを周囲に主張する動物のマーキング行為と重ね合わせます。さらには、絵画内で巻き起こる鮮やかな色彩の衝突や、画面の骨子として縦横に走る太い筒状の構造、そして調和を意図的に乱す石の写真のコラージュといった視覚的要素には、相手に力を誇示することで攻撃を避け、身を守ろうとする威嚇行為とのアナロジーを見出しています。鮮烈な印象を即時に与えることを目論む大上の作品は、展示空間に馴染み静的な鑑賞へと没入していくことを留保し、各々の身体領域へと意識を差し戻します。外部化された作家のパーソナルエリアは翻って鑑賞者が無意識のうちに設定している身体の輪郭を喚起し、原始的な感覚に基づく緊張感に満ちた空間を生み出します。

絵画と行き来して制作を続けている立体は粘土から型をとった石膏やセメントから造形され、大上の身体的接触の跡が直に形状として残されています。本展に出展する新作は、しもやけの症状と、それに対して馬油を塗る身近な療法が制作の契機となったといいます。成分が皮膚の内部へと浸透して血行を改善する一連の流れを逆転させ、馬油を介して血管を外へと引き出すメタファーとして油絵の具が染み出す筒型の構造を作り出し、前述の「縄張り」に接続する新たなアプローチがなされています。チューブ状のフォルムや油分の媒介からなる構成は絵画作品とも呼応し、血管のほかにも植物の維管束や根茎と紐づけられ、作家の身体から分離した片鱗それ自体が増殖していくかのような生々しさを帯びています。

本展と同時期に下記の会場にて大上巧真の個展が開催されます。

【同時開催】
「project N 102 大上巧真」
会期: 2026年4月16日(木) – 6月24日(水)
会場: 東京オペラシティ アートギャラリー 4Fコリドール
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大上巧真は2000年大阪府生まれ、茨城県を拠点に活動。2023年に京都芸術大学美術工芸学科油画コース卒業、2025年京都芸術大学大学院修士課程芸術専攻油画領域修了。主なグループ展に、「マーク・メイキング」タカ・イシイギャラリー 前橋(群馬、2025年)、「Up_03」MtK Contemporary Art(京都、2025年)、「ひたしとく」GALLERY GARAGE(京都、2024年)、「常行三昧 Jogyo Zanmai」A-LAB(兵庫、2024年)、「ウサギ・ハチドリ・ホムンクルス〜新しい地平の作り方〜」MEDIA SHOP(京都、2023年)など。

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