EXHIBITIONS
津田直「LO」
会期: 2026年4月3日(金) – 5月2日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルム
オープニング・レセプション: 4月3日(金)18:00 – 20:00
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルムは、4月3日(金)から5月2日(土)まで津田直の個展「LO」を開催いたします。本展は1月に東京で開催された「LO-Risograph Print」展、神戸で開催の「LO-逆さまの杯と杖-」展に続くかたちで、『LO』シリーズよりランドスケープを中心とした写真作品約10点を展示いたします。
これまでもブータン王国や北極圏、リトアニアなど世界各地を訪れて土地の中に潜む、人の行い、人と自然との交感や関係性を捉えた作品を発表してきた津田ですが、本シリーズは、仏教の原点を辿るべくチベット仏教の文化や伝統が色濃く残るネパール北部のムスタン地方を旅して撮影されたものです。約1か月間にわたる旅路は標高2,500~4,000mほどの場所を日々移動していたと言います。空気が澄み渡ればそこからは8,000m峰のヒマラヤの山々を目の前に臨むことができ、広大な景色は積層した時間と自然の威容を感じさせます。
『LO』シリーズのランドスケープ作品は、特徴的な半円形にフレーミングされています。この形状は「風景に四つ角は必要か」という問いから始まったと津田は語り、その後ネパール現地や帰国後まで感じていたある種の「浮遊感」が「キューポラ」(宇宙船や教会の塔の最上部にみられる窓)からの眺めを連想させたことで、半円のランドスケープが生まれました。視界の上部がまるで庇(ひさし)で遮られているかのような感覚をも覚えるこの視覚表現は、風景とそれに対峙する者のあいだを隔てる距離や関係性への気付きをもたらします。それはネパールの地で古代の人々がしたように、洞窟の穴から風景を眺める体験にも通ずるかもしれません。
タイトルの『LO』という言葉は英語「look」の古語「locian」に由来すると同時に、撮影地である旧ムスタン王国の首都「Lo Manthang(ローマンタン)」からとられています。「look(locian)」の意味する通り、本シリーズのテーマには「見る」こと、「目を向ける」ことが据えられています。自らの仕事を「翻訳」と呼び「言葉以前の世界を写真を通じて呼び覚ましたい」と語る津田は、土地のもつ記憶やそこで形成されてきた人々の生活や営みの中から、輪郭を表しはじめた尊い存在に目を向け、自らの足で彼の地を歩みながら紡がれた風景を静かに写し出しています。
津田直は1976年、神戸市生まれ。2010年に芸術選奨文部科学大臣新人賞(美術部門)を受賞。大阪芸術大学客員教授。主な作品集に『漕』(2007年)、『SMOKE LINE』(2008年)、『Storm Last Night』(2010年)、『SAMELAND』(2014年)、『Elnias Forest(エリナスの森)』(2018年)、『やがて、鹿は人となる/やがて、人は鹿となる』(2021年)、最新作に『LO』(2025年)などがある。



