EXHIBITIONS
クサナギシンペイ 「鯨寄る浦虎伏す野辺」
会期: 2024年6月29日(土)– 8月11日(日)
[臨時休廊: 2024年7月6日(土) – 7月7日(日)]
会場: タカ・イシイギャラリー 前橋
オープニング・レセプション: 6月29日(土)17:00 – 19:00
タカ・イシイギャラリー 前橋では6月29日(土)から8月11日(日)まで、クサナギシンペイの個展「鯨寄る浦虎伏す野辺」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの3年ぶり6度目となる本展では最新作の紙作品とペインティング作品を発表いたします。
いかなる鯨の寄る浦、虎ふす野辺をふみわけ、草村の露ときえんも此道也
『慶長見聞集』(1614)二
この『慶長見聞集』の一節には、未開の地を切り拓くような作家の心境とこれからに向けた強い志が感じられます。同時に、遥かな時と場所を連想させ、作家が描く荒々しくも静かな広大な自然の風景とも重なるようです。
紙作品のシリーズは、アトリエに通うことが困難な時期に日記のように描きためていた作品群の中から初めて展示いたします。紙の上で軽やかに結実するにじみの実践が、繊細かつ純朴な空気感を生み出しています。生のカンヴァスにステイン(にじみ)の技法を用いて制作されるペインティング作品は、透明感のある豊かな色彩を何層にも重ね、深い空間性を表現しています。近年、クサナギの絵画は、このステインの技法を基調としながら、即興的で動きのあるブラッシュストロークや、豊かな色彩表現が印象的な抽象絵画へと展開してきました。洗練された色彩の調和とダイナミックな構図からなる神秘的な様相は、クサナギの新しい抽象表現の幅を広げています。この機会にぜひクサナギシンペイの最新作をご高覧ください。
クサナギシンペイは1973年東京生まれ、同地を拠点に活動。主な個展に「All things must pass」アルトマンシーゲルギャラリー(サンフランシスコ、2022年)、「Something is happening which is not happening at all」アルトマンシーゲルギャラリー(オンライン、サンフランシスコ、2020年)、「project N 45 クサナギシンペイ展」東京オペラシティ アートギャラリー(東京、2011年)など。グループ展では「MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020」東京都現代美術館(東京、2023年)、「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」広島市現代美術館(広島、2023年)、東京オペラシティ アートギャラリー(東京、2024年)、熊本市現代美術館(熊本、2024年)に巡回、MOTサテライト「往来往来」(東京、2017年)、「現代美術の展望:VOCA展2011-新しい平面の作家たちー」上野の森美術館(東京、2011年)に出展。書籍の装丁画などを数多く手がけ、2013年求龍堂より画文集『清澄界隈』を出版。