EXHIBITIONS

ジャデ・ファドジュティミ 「Connecting in Silence」

会期: 2024年3月16日(土) – 4月27日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー 京都
オープニング・レセプション: 3月16日(土)16:30 – 18:30

タカ・イシイギャラリー 京都では3月16日(土)から4月27日(日)まで、ジャデ・ファドジュティミの個展「Connecting in Silence」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの2回目の個展となる本展では、最新のペインティングと小規模のドローイング作品を展示いたします。

ファドジュティミの絵画の大きな特徴は、キャンバスいっぱいに表現された、力強く印象的な色彩です。流れるようなストロークで油絵具を厚く塗り重ねることで、色・かたちの動的なフュージョンをつくり出し、あるいは塗り重ねた絵具を削り落としたり引っ掻いたりすることで、隠れていた色の層をあらわにします。そうした表面の絵具が乾くか乾かないかのうちにオイルパステルで素早く複雑な線を加えることで、エネルギーと感情とをチャージするのです。植物のモチーフから壮大な風景にいたるまで、彼女の絵画言語はさまざまな解釈を誘うものであり、そこには抽象でも具象でもない微妙なバランスが生まれます。インスピレーションの源であるファッションやアニメ、サウンドトラックを引用しながらファドジュティミがキャンバス上に描き出す独特の感情の風景には、彼女のアイデンティティや経験、思い出が反映されています。

彼女の作品制作においてはスケッチブックも重要で、そこではキャンバスとは異なる要素が展開します。色鉛筆で描かれた繊細な線やかたちの上を半透明のマーカーが行き来する一方で、烈しい色相のパステルが大胆に動きまわり躍動感のあるコンポジションをつくり出しています。ペインティングとドローイングではスケール感が異なりますが、その違いを利用することでファドジュティミは両方の要素を融合させているといえるでしょう。こうした抽象的なマーク・メイキングによる描画は、彼女が書く文章とともに、創作の瞬間瞬間の思考を日記のように記録するものです。また、作品につけられたタイトルは、創作における作家と言葉とのつながりを垣間見せてくれると同時に、観るものが作品とかかわり合うための手がかりとなっています。

コロナ禍の数年を除き、ファドジュティミは毎年来日をしています。なかでも京都は特別な場所で、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士課程に在籍中、交換留学生として2016年に京都市立芸術大学で4ヶ月間学びました。自然と共存する京都の歴史的な環境は視覚的なインスピレーションのみならず、自身のアイデンティティや帰属感の培い方を考えるための内的対話の機会を彼女に与えてきました。本展はファドジュティミがこれまで育んできた京都の街との多角的な関係性の集積といえます。会場となる伝統的な町家は、その建物に宿る比類なき歴史とともに彼女のビジョンを包み込み、それを反響させることでしょう。

ジャデ・ファドジュティミは1993年ロンドン生まれ。現在も同地を拠点として活動。スレード美術学校(ロンドン)で絵画を学んだ後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)にて修士課程修了。近年の主な展覧会に、The Hepworth Wakefield(ウェイクフィールド、2022年)、WHAT MUSEUM(東京、2022年)、ICAマイアミ(2021年)、The Columbus Museum of Art(コロンバス、2021年)など。主な国際展に、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2022年)、リバプール・ビエンナーレ(2021年)など。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、ボルチモア美術館、The Hepworth Wakefield(ウェイクフィールド)、ICA マイアミ、テート美術館(ロンドン)、ウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)などが作品を収蔵。

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