EXHIBITIONS

アルマンド・サラス・ポルトゥガル 「BARRAGÁN」

会期: 2024年1月27日(土) – 2月24日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルム

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルムは、1月27日(土)から2月24日(土)まで、アルマンド・サラス・ポルトゥガルの個展「BARRAGÁN」を開催いたします。2017年以来、当画廊で2回目の個展となる本展では、メキシコ人建築家ルイス・バラガンの作品をとらえた写真作品16点を展示いたします。

快活な3人兄弟の末子として生まれたアルマンド・サラス・ポルトゥガルは、幼少期より母国メキシコの自然に魅了されてきました。18歳の時に兄のカメラを手にして以降、各地への旅の記録を写真に収めるようになります。1941年には自然愛好団体Club de Exploraciones de Méxicoが発行する『La Montaña』誌において初めて作品が掲載されます。時に危険を伴いながらも、カヌーや小型飛行機を使用して未開の地へと足を踏み入れ、活火山や海岸地域、砂漠地帯、密林に埋もれたマヤ文明の遺産などを撮影しました。メキシコ国内の風景写真コンテストで最優秀賞を受賞したことを筆頭に写真家としてのキャリアの初期から高い評価を受け、国内外の美術館で個展を開催しました。

グアダラハラの自由工科大学で工学を学んだのち、ヨーロッパ諸国やモロッコ、ニューヨークに滞在し現地の建築やモダニズムの潮流に触れたルイス・バラガンは、帰国後メキシコシティに拠点を置き、小規模の住宅建築を多く手がけるようになります。初めての自邸として庭の設計にも携わった1940-42年のオルテガ邸のほか、彼の代表的な建築として知られるバラガン邸(1947年)は、2004年に世界文化遺産に登録されています。また、バラガンはメキシコシティの南西に位置するエル・ペドレガル・デ・サン・アンヘルの都市計画にも取り組みます。その一部として、彼はドイツから亡命した建築家マックス・チェットと共同でフエンテス通りに位置する2軒の住宅建築を設計しました。

このエル・ペドレガル・デ・サン・アンヘルを主題とした写真を、サラス・ポルトゥガルが1944年のメキシコ国立芸術院での個展で発表したことによって、両者は邂逅することとなります。以降、サラス・ポルトゥガルとバラガンは40年以上の交友関係を続け、数多くの建築が写真に収められました。メキシコの大地に育まれた自然環境とモダニズムの融合を図ろうとしたバラガン建築の実験的特徴――自然光が差し込む空間設計、プールや噴水といった水の要素、地域に固有の色鮮やかな壁面――がサラス・ポルトゥガルの作品に見て取れます。サラス・ポルトゥガルの作品は、バラガン建築の国際的な認知度を高める役割を果たしたのみならず、3次元の建築空間にその類まれなる眼によって呼応し、写真というメディウムを通じて新たな視覚体験を生み出しています。

アルマンド・サラス・ポルトゥガルは1916年メキシコ・モンテレイ生まれ(1995年死去)。1932年にアメリカに渡り、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて化学を学ぶ(1935-38年)。主な個展に「Paisaje Mexicano」メキシコ国立芸術院(メキシコシティ、1944-46年)、「Paisaje Chiapaneco」シルクロ・デ・ベジャス・アルテス(メキシコシティ、1949年)、「Luis Barragán. Architect」ニューヨーク近代美術館(1980年)など。作品はヴィトラ・デザイン・ミュージアム(ヴァイル・アム・ライン、2000年)ほかオーストリア応用美術博物館(ウィーン)、バレンシア美術館(いずれも2001年)、メキシコ国立芸術院(メキシコシティ)、東京都現代美術館(いずれも2002年)に巡回した「The Quiet Revolution of Luis Barragán(ルイス・バラガン 静かなる革命)」などで展示されている。

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