EXHIBITIONS

スターリング・ルビー 「SPECTERS KYOTO」

会期: 2023年11月25日(土) – 2024年1月20日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー 京都
オープニング・レセプション: 11月25日(土)16:30 – 18:30

タカ・イシイギャラリー 京都は2023年11月25日から2024年1月20日まで、スターリング・ルビーの個展「SPECTERS KYOTO」を開催いたします。今回は本展のほかに、タカ・イシイギャラリー(TERRADA ART COMPLEX II)と草月プラザでもルビーの個展を同時開催し、3つの展覧会すべてで新作を発表します。

ルビーは2019年、Desert Xというプロジェクトに参加しました。本展はそこで取り組んだテーマをさらに拡大し、民間呪術と超自然世界に踏み込むかたちで構成したものです。作家に影響を与えたのは日本と欧米の神話や伝説、そして作家自身が成長する過程で関わりをもったアメリカ植民地時代からの伝え話でした。ルビーはペンシルバニア州の出身ですが、生まれ育った家のほんの数キロ先にヘックス・ホロー(Hex Hollow=「呪いの谷」の意)という悪名高い場所があり、その町の歴史は魔術や怪奇現象の伝え話に染まっていたそうです。2014年9月、東アジアを旅したことで、ルビーは仏教の伝統に深く根ざした日本の幽霊話にも興味を抱き、特に怪談と呼ばれるジャンルの物語によって、死後の世界がどんなものかという、より大きな好奇心を掻き立てられたと言います。

本展の会場となる京都のギャラリーは伝統的な町家です。土壁の美しさや建築上の特徴を活かし、その空間に「取り憑いた」作品が展示されます。日本と欧米の怖い話に深く関わり、象徴的な意味をもつ有機的な素材−−−−たとえば髪の毛や木、さらには動物の骨や乾いたひょうたんなども用いています。日本に帰化したギリシャ人作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の怪談話に触発されて生まれたコラージュ的な立体作品は、首が井戸のつるべのように伸びる「ろくろ首」や「葛籠(つづら)の化け物」などにダイレクトに言及するものです。自らのアメリカ人としての視点からは、「ゴースト・ブライド」[1]というお決まりの話を取り上げています。紙の作品も展示されますが、そこにペンで繊細かつ朧げに描かれた線は骸骨や身体の部位を形作り、冥界のくすんだ色合いを想起させるものとなっています。

町家の中から外へと、縫うように展示されたペインティングや陶器、彫刻そして紙の作品は、「SPECTER」の生前と死後についての、ルビーの探求の成果なのです。

[1] 訳注:いわゆる冥婚の一種。死の国に属する相手と結婚するという設定や話は、アメリカだけでなく世界のいろいろな地域に伝承している。

【同時開催】

スターリング・ルビー「Heat. Minthe. Swells.」
会期: 2023年11月23日(木)– 12月23日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー(TERRADA ART COMPLEX II)

スターリング・ルビー「SPECTERS TOKYO」
会期: 2023年11月23日(木)– 12月23日(土)
会場: 草月会館1F石庭「天国」

スターリング・ルビーは1972年生まれ。光沢のあるポリウレタンやブロンズ、鋼鉄を用いた立体作品から、ドローイングやコラージュ、ふんだんに釉掛けした陶器、油彩画、写真、映像、さらにはキルト、タペストリー、衣服、ソフトスカルプチャーといった布作品まで、多様な素材や技法を駆使する。ルビーの作品では常にさまざまな要素が緊張関係を保ち、危うい均衡を成り立たせており、社会の中の暴力や圧力、美術史に関わる問題のほか、自身の過去も扱われる。全ての作品において、流動と静止、ミニマリズムと表現主義、純粋さと汚れの間で揺れ動く作家像を見ることができる。

ルビーはこれまでGalleria Doria Pamphilj(ローマ、2021)、Museum of Cycladic Art(アテネ、2021)、ICAマイアミ(マイアミ、2019)のちICAボストン(ボストン、2020年)へ巡回、Museum of Arts and Design(ニューヨーク、2018)、ベルヴェデーレ美術館 冬の宮殿(ウィーン、2016年)、FRACシャンパーニュ=アルデンヌ(ランス、2012年)のちジュネーヴ現代美術センター(ジュネーヴ、2012年)、ローマ現代美術館(2013年)に巡回のほか、ロサンゼルス現代美術館(2008年)等で個展を開催。2014年には 光州ビエンナーレ、台北ビエンナーレ、ホイットニー・ビエンナーレに参加。 

ルビーの彫刻作品「DOUBLE CANDLE」 (2018)はハーシュホーン博物館と彫刻の庭(ワシントンDC)に常設されている。またそのほかニューヨーク近代美術館、ソロモンR.グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、シカゴ現代美術館、ロサンゼルス現代美術館、ハマー美術館(ロサンゼルス)、サンフランシスコ近代美術館、テート・モダン(ロンドン)、パリ市立近代美術館、ポンピドゥー・センター(パリ)、ストックホルム近代美術館を含む多くのコレクションに作品が収蔵されている。

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