EXHIBITIONS

グループ展 「FOOD for THOUGHT」

会期: 2023年9月17日(日) – 11月12日(日)
会場: タカ・イシイギャラリー 前橋
オープニング・レセプション: 9月17日(日)17:30 – 19:30

タカ・イシイギャラリー 前橋では、2023年9月17日(日)から11月12日(日)まで、食とアートとの関係をめぐるグループ展「FOOD for THOUGHT」を開催いたします。

Food[名詞]
摂取もしくは用途に足るあらゆるもの。Food for thought[思考の糧/判断のための材料]。

Thought[名詞]
精神的活動の産物。人によって考えられたもの。A body of thought[思想体系/思考のまとまり]。

『Random House Webster’s Unabridged Dictionary』(ランダム・ハウス刊、2001年)より

食はアートにおいて、アイデンティティ、時間、生、文化などを象徴するものとして描かれてきました。ある人物の大好物が分かれば、その人柄について多くのことが見えてきます。食は私たちに、生命維持に必要な栄養をもたらすだけではなく、アートがそうであるように、計り知れない喜びも与えてくれるのです。

食は私たちの日々の暮らしに欠かせません。そのため、歴史を通じて、様々な方法で描写されてきました。静物画には果物や野菜、日々の暮らしのために人間が作った陶磁器やガラスの食器が描かれ、異なる国、地域、季節に特有の生産物が並びます。静物をめぐるマリオ・ガルシア・トレスの映像作品では、果物と花の腐敗が進行するなか、故人であるメキシコ人画家、エルメネヒルド・ブストスに宛てた手紙を通じて、あるひとつの作品が別々の時代に別々の意味を担うことについての思索が展開されます。一方、キュビズムの画家であるジョルジュ・ブラック、現代美術の作家であるデヴィッド・ホックニーとスターリング・ルビーは、それぞれに絵画という伝統的なジャンルに正面から立ち向かい、日本の写真家である森山大道は、媒体としての写真に対する新鮮なアプローチに取り組みます。食を愉しむ場面は、荒木経惟、五木田智央、奈良美智、奈良原一高、高梨豊の作品にも見られます。

今回の展覧会では、日用品の美や職人の技を軸として日本で発展した、民藝運動に関連する書の作品や機能的な陶磁器も展示されます。民藝運動を提唱した濱田庄司、河井寛次郎、柳宗悦、沖縄に特有の陶磁器に民藝の哲学を取り入れた金城次郎といった作家たちの作品が私たちに促すのは、暮らしのあり方そのものや職人の精妙な仕事にあらためて目を向けることです。

陶磁器をはじめとするセラミックはどれも、窯の中でパンのように焼き上げられ、料理や食事に際して使用されます。これほど基本的な、あるいは飲食に特化したアートの形体は他にありません。ウィリアム・J・オブライエンによる大小さまざまなセラミックの碗の表面には、制作中に起こる釉薬の予測不可能な流れや混ざり合いがそのまま保持されています。

ポップ・アートやコンセプチュアル・アートにおける食、パフォーマンスを介した経験としての食、調理というパフォーマンスとしての食…。人間との文化的、政治的、経済的、社会的な関係性を通じて、食は私たちの魂に語りかけてきます。

作品を出展するアーティスト:荒木経惟、ジョルジュ・ブラック船木研兒、マリオ・ガルシア・トレス、五木田智央、濱田庄司、デヴィッド・ホックニー、掛井五郎、加守田章二、河井寛次郎、ケラミコス、金城次郎、森山大道、村瀬恭子、奈良美智、奈良原一高、ウィリアム・J・オブライエン、パブロ・ピカソ、スターリング・ルビー、島岡達三、高梨豊、築地仁、柳宗悦。

お気に入りのレシピの紹介という形で本展に参加するギャラリー・アーティスト:マリオ・ガルシア・トレス、五木田智央、グラシエラ・イトゥルビデ、奈良美智、スターリング・ルビー、ケリス・ウィン・エヴァンスほか

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