EXHIBITIONS

奈良原一高 「Fashion」

会期: 2023年2月10日(金) – 3月11日(土)
会場: amanaTIGP

安心して作品をご覧いただけるよう様々な感染症対策を徹底しております。

amanaTIGPは2月10日(金)から3月11日(土)まで、奈良原一高の個展「Fashion」を開催いたします。本展では1960年代に雑誌を主な発表媒体として制作したファッション写真のうち18点を展示いたします。生前最後の大規模個展となった世田谷美術館「奈良原一高のスペイン――約束の旅」(2019年)にて同ジャンルにおける奈良原の活動が紹介されたことは記憶に新しいですが、東京都写真美術館での2004年の回顧展「時空の鏡:シンクロニシティ」以後、同作家によるファッション作品のヴィンテージプリントが展示されるのは19年ぶりとなります。

大学院で美術史を学んでいた僕には、ファッション写真は最もアートに近い分野に思えた。何よりも生きた人間が身に纏って表現する「生きている造型」としての魅力があった。その舞台では、自分のアイディアで演出できる「作る写真」と「撮る写真」を融合する可能性が発見できそうだった。毎日どれだけでも楽しく撮り続ける自信があった。[…]何もかもが未知の体験だった。そのワクワク感が60年代だった。

奈良原一高『奈良原一高写真集―時空の鏡―』新潮社、2004年、p. 94

1962年から3年間、欧州に滞在し制作した作品群をまとめた写真集『ヨーロッパ・静止した時間』、そして帰国後に日本の伝統文化を見つめた「ジャパネスク」シリーズといった代表作が生み出された同時期において、奈良原は雑誌を中心にファッション写真を精力的に発表しています。『アサヒカメラ』では1962年に「モード写真の周辺」と題された毎月一つのテーマからなる連載に1年間取り組み、そのタイトルが示唆するようにファッション写真への新たなアプローチを提示しました。1959年に『装苑』の編集者とアトリエを訪問したことを契機に長きにわたる交友関係を築いた森英恵とは幾多のコラボレーションを行い、富士紡績株式会社のカレンダー作品のほか、1969年には田中一光および成島東一郎と共同で監督を務めたプロモーション・フィルム「ザ・ワールド・オブ・ハナヱ・モリ」を制作しました。さらに『婦人公論』では、奈良原の写真集も手がけたグラフィックデザイナーの勝井三雄とタッグを組み、画面を上下で二分割した斬新なレイアウトの表紙を1969年から70年の間に発表しています。

本展で展示される作品は『婦人画報』や『ハイファッション』といった服飾雑誌のほか、『日本カメラ』など写真専門誌の表紙や誌面を飾ったものです。被写体は森英恵や伊東孝がデザインした衣服が多くを占め、モデルはパリ・コレクションに参加したことでも著名な松本弘子らが務めています。奈良原はかつてファッション写真を「文明批評」と語っていますが、流行(モード)を社会に生み出すべく作り上げられたスタイルブックとしてのイメージは、それぞれ時代の絢爛さを瑞々しく刻印しています。またその一方で、布地の流動性に呼応するかのように躍動感を伴う実験的な構図や技法が試みられた芸術的表現も見受けられ、ファッション写真に新鮮な眼差しを向ける作家独自の探究心が垣間見えます。写真家・奈良原一高の活動に新たな角度から光を当てる本展を、この機会に是非ご高覧ください。

本展と同時期に下記の会場にて奈良原一高の個展が開催されます。

【同時開催】
「境界をみつめて 奈良原一高写真展」
会場: 呉市立美術館(広島)
会期: 2023年2月4日(土) – 3月26日(日)

「特集:新収蔵 奈良原一高の写真」
会場: 和歌山県立近代美術館
会期: 2023年2月11日(土・祝) – 5月7日(日)

奈良原一高は1931年福岡県生まれ(2020年没)。検事であった父親の転勤に伴い、国内各地で青春期を過ごす。1946年に写真の撮影を始める傍ら、芸術や文学などにも関心を寄せ、1954年に中央大学法学部を卒業後、早稲田大学大学院芸術(美術史)専攻修士課程に入学、1955年には池田満寿夫、靉嘔ら新鋭画家のグループ「実在者」に参加。池田龍雄や河原温といった芸術家や瀧口修造らとも交流を深めると同時に、東松照明、細江英公らとも知り合い、1959年には彼らとともにセルフ・エージェンシー「VIVO」を設立(1961年解散)。その後も、パリ(1962–65年)、ニューヨーク(1970–74年)と拠点を移しながら世界各地を取材し、多数の展覧会を開催。写真集も数多く出版し、国際的にも高い評価を受けている。主な個展に「人間の土地」松島ギャラリー(東京、1956年)、「Ikko Narahara」ヨーロッパ写真美術館(パリ、2002–03年)、「時空の鏡:シンクロニシティ」東京都写真美術館(2004年)、「王国」東京国立近代美術館(2014–15年)など。主な受賞に日本写真批評家協会新人賞(1958年)、芸術選奨文部科学大臣賞(1968年)、毎日芸術賞(1968年)、日本写真協会年度賞(1986年)、紫綬褒章(1996年)、日本写真協会功労賞(2005年)、旭日小綬章(2006年)など。

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