EXHIBITIONS

ジャデ・ファドジュティミ 「Memory in Translation」

会期: 2022年12月3日(土) – 2023年1月14日(土)
[冬季休廊: 2022年12月28日(水) – 2023年1月5日(木)]
会場: タカ・イシイギャラリー(complex665)
オープニング・レセプション: 12月3日(土)18:00 – 20:00

安心して作品をご覧いただけるよう様々な感染症対策を徹底しております。

タカ・イシイギャラリーは12月3日から1月14日まで、ジャデ・ファドジュティミによる展覧会「メモリー・イン・トランスレーション」を開催いたします。本展はファドジュティミの当画廊での初個展であると同時に、アジアでもはじめての個展となります。展示されるのはさまざまなサイズからなるすべて新作のペインティングで、どれもファドジュティミ特有の表現力に富むあざやかな色使いで描かれたものです。

新型コロナウイルス感染症の流行により、本展は1年以上延期されました。ファドジュティミとその作品にとって、待望の再来日の機会となります。ファドジュティミは子どもの頃に親しんだ日本のアニメやビデオゲーム、服、サウンドトラックに、強い影響を受けていると言います。彼女のアートの実践において、それらの思い出や興味はつねに中心的役割を担ってきました。2016年には京都のレジデンス・プログラムに参加しましたが、アーティストとしての真のキャリアがスタートしたのはまさにその期間中だったと述べています。コロナの世界的流行が起こるまでは、制作のため年に数回来日することもありました。日本の入国制限が緩和されてからは今回がはじめての来訪となります。長期にわたって日本を離れていたファドジュティミですが、再び日本を訪れることを想像していました。そうして描かれた新作にはやはり日本の風景や要素を見ることができます。

ファドジュティミのペインティングやドローイングは、日々の暮らしや身近なものから直に生まれます。ずっと着てしまう服、ある感情を抱いたときに見えた色彩などから、作品に使う色の組み合わせを決めることもあります。蛍光色、あざやかで激しい黄系、さまざまな赤や青、渋めの緑系、やさしいラベンダー、激しいフューシャ・ピンク。色彩のもつあらゆる視覚的領域を網羅するように、彼女は描いていきます。色彩についての独特の理解のもと、そこから生み出される作品は独自のリズムと私的なメッセージを宿しているようです。そうしたリズムやメッセージは作品タイトルに変換され、示唆に富んだそれらは多くの場合、ファドジュティミの視点に立って作品を理解する手がかりとなります。この2年間でオイルパステルも用いられるようになり、それによって、色彩と彼女のあいだにまた新たな関係性が生まれました。オイルパステルは彼女の美術的言語における新たな手法となり、また、この画材を使った戯れと実験の機会ともなったのです。隠喩的にも身体的にもそれが源となり、キャンバスと、描画の際の思考や思索とに新たな動きを生み出しました。彼女のアートの領域は抽象と具象のあいだに位置する独特のものです。そこでは、線はキャンバスを横切るようにあるいは覆い尽くすように滑り、ファドジュティミのオーケストレーションにしたがって動き回ります。自ら認めるところによると、それは愛の放出であり、描画の行為そのものの喜びに身を委ねることでもあります。感覚を総動員しながら作品を制作し、そして作品に応えているのです。ペインティングとドローイングという身体的手法をとおして、想像力と感性という非物質的なものによって世界を(再)創造する――ファドジュティミの作品はそうした手段のひとつと言えるでしょう。

【同時開催】
ジャデ・ファドジュティミ「This land escapes me and continues to grow」
会期: 2022年12月23日(金)– 2023年1月28日(土)
会場: SKWAT/twelvebooks(東京都港区南青山5-3-2)

ジャデ・ファドジュティミは1993年ロンドン生まれ。現在も同地を拠点として活動。スレード美術学校(ロンドン)で絵画を学んだ後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)にて修士課程修了。近年の主な展覧会に、The Hepworth Wakefield(ウェイクフィールド、2022年)、WHAT MUSEUM(東京、2022年)、ICAマイアミ(2021年)、The Columbus Museum of Art(コロンバス、2021年)など。主な国際展に、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2022年)、リバプール・ビエンナーレ(2021年)など。2023年にはLUMA Foundation(アルル)のレジデンス・プログラムに参加予定。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、ボルチモア美術館、The Hepworth Wakefield(ウェイクフィールド)、ICA マイアミ、テート美術館(ロンドン)、ウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)などが作品を収蔵。

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