EXHIBITIONS

鈴木理策 「冬と春」

会期: 2022年6月4日(土) – 7月2日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー(complex665)

安心して作品をご覧いただけるよう様々な感染症対策を徹底しております。

タカ・イシイギャラリー東京では、6月4日(土)から7月2日(土)まで、鈴木理策個展「冬と春」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでは6年振りの個展となる本展では、作家が継続的に撮影してきた主題をあらたな構成のもとに展示いたします。

冬と春では風景がずいぶん異なりますが、両者は繋がっています。
冬の写真と春の写真、それらのあいだにあらわれる季節の移ろい。
写真は言葉のように断片的で、写真と写真のあいだ、その見えない部分を見る人に託します。
これらの写真は初めて見る風景なのか、それとも思い出しているのか。
そのあわいが生まれるように。

鈴木理策

鈴木理策は「見るという経験とは何か」を問う装置として写真をとらえ、写真の特性と視覚の問題に関心を向け続けてきました。撮影者の眼、存在する対象をありのままに映し出すカメラという光学機械、それらをつなぐ媒介としての光、撮影者の意識外にある外界の揺らぎ、そして現像された写真のイメージ同士の繋がり、それらが組み合わされて「見る」という持続的な経験が写真において成立し得ると作家は考えています。本展においては、継続的に撮影してきた桜、雪、水鏡という主題がそれぞれ断片でありながら、並列されることで生まれる時空間に視線が注がれています。写真と写真の間に生じる時間や季節の移ろいにより、隣り合う写真は見る者を介しながら響きあい、それぞれの心の中で身体的な経験として動き始めます。作家が知覚した光、空気、温度、その移ろいをカメラによって機械的に記録する行為は、目の前に広がる光を一粒ずつとらえ、永遠に変容し続ける光景として描き出そうとした画家たちの試みにも通ずるのかもしれません。それは、持続する時間の中でその過程を追体験する鑑賞者にとっては、現実とは何か、物事を見ている自分とは何なのかを問う、根源的な行為となり、作家が「あわい」と呼ぶ場所に見る者はよすがを見出すことができるでしょう。

鈴木理策は1963年和歌山県新宮市生まれ。1987年東京綜合写真専門学校研究科修了後、写真による創作活動を始める。1998年、地理的移動と時間的推移の可視化を主題にシークエンスで構成した初の写真集『KUMANO』を出版し、2000年『PILES OF TIME』で第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。2006年より東京藝術大学美術学部先端芸術表現科で教鞭をとる。2010年に1963年生まれの日本人写真家や批評家とともに「写真分離派」を立ち上げ、またニューヨーク、 チューリッヒで個展を開催するなど、国際的に活動の場を広げている。ライフワークともいえる熊野での 撮影の他、南仏のサント・ヴィクトワール山、セザンヌのアトリエ、桜、雪のシリーズといった多様な対 象を異なるアプローチでとらえているが、そこには「見ること」への問題意識と、写真というメディアの 特性への関心が貫かれている。主な個展に「意識の流れ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・東京オペラシティギャラリー・田辺市立美術館、2015-2016年)、「水鏡」(熊野古道なかへち美術館、2016年)、「 熊野 雪 桜」(東京都写真美術館、2007年)がある。作品は、サンフランシスコ現代美術館、ヒュースト ン美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館等に収蔵されている。

本展会期中には下記の展覧会が開催、作品集が刊行されます。是非この機会に、横断的かつ意欲的な試みをご高覧ください。

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画―セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」
会期:2022年4月29日(金) ‐ 7月10日(日) 
会場:アーティゾン美術館

『冬と春』
刊行:2022年6月(予定)
刊行元:赤々舎

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