EXHIBITIONS

村上華子 「Imaginary Landscapes」

会期:2022年2月5日(土) – 26日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー ビューイングルーム(TERRADA ART COMPLEX II)

この度、タカ・イシイギャラリーは、2月5日(土)から2月26日(土)まで、「Imaginary Landscapes」展を開催します。タカ・イシイギャラリーでの6年振りの個展となる本展は、2020年のパンデミック以降、村上が継続的に制作してきた新作《Imaginary Landscapes》を中心に紹介します。

わたしは自宅の暗室にこもって、百年も前から未使用の写真印画紙を現像液の中に浸していた。傷みの激しいものは丸ごと現像して、嵐が吹き荒れるような情景になる。そうでないものは、現像液にうまい具合浸して山々のような情景を浮かび上がらせる。これらの印画紙も、ほんとうならもっと遠くを旅して、異国の光景を持ち帰ってくるはずだったのかもしれない。

暗室の赤色灯の色はそういえば、目を閉じたまま太陽を見たときの色に似ている。わたし達は本来、まぶたを閉じれば、いつでもどこでも、限りなく自由なはずだ。

村上華子
2021年3月23日 パリにて

村上の作品には、19世紀末から20世紀初頭に製造された未使用の写真材料が用いられています。紙、ガラス、フィルムという3種類の支持体からなる写真群は、当時のレシピに従って調合、現像されており、化学変化に加え、長年の温湿度変化や製造過程の痕跡などの蓄積により、風景や抽象絵画を想起させる思いがけない色や形を現しています。村上は、本作品と組み合わせて詩を書き下ろしながらイメージとテキストを往復することで生まれなかった風景を呼び起こすことにも試みてきました。また、様々な展示の機会が失われる中、CNAP(国立造形芸術センター)での「Image3.0」展では、アイトラッキングカメラを利用した完全に脱物質化された作品や、リコー社が開発した2.5次元印刷技術、StareReap(ステアリープ)によるマルチプル作品の制作に取り組んでいます。様々な活動が停止したことで、起こりえた出来事の可能性が次々と消えていった時間は、未使用のまま現在に至るまで「撮られたかもしれないのに撮られなかった無数の写真の集積」とも重なります。本展の開催にともない、新作と詩で構成された作品集『Imaginary Landscapes』を刊行します。重層的な時間軸と可能性の中で、移り変わり続ける世界を見据え、「見えること」そして、写真の概念を問い続ける作家による風景を、ぜひこの機会にご高覧ください。

村上華子は1984年生まれ。東京大学文学部卒業後、東京藝術大学映像研究科修士課程修了。その後、ベルギー政府奨学生として渡欧し、ポーラ美術振興財団在外研修(パリ)、ル・フレノワ: フランス国立現代アートスタジオ、文化庁新進芸術家海外研修(ロサンゼルス、ニューヨーク)を経て現在フランスを拠点に活動。村上の作品の多くは、これまでも写真の古典技法や活版印刷術など、過去のものとされるメディアに焦点をあてた緻密なリサーチに基づく。各作品には、複製技術の起源に関する逸話や村上自身の経験から語られるテキストが添えられ、虚と実、過去の史実と現在の仮説が錯綜する状況が作品の中に生まれている。
主な展覧会として「From Here to There」ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク、2020年)、「La photographie à l’épreuve de l’abstraction」FRACノルマンディ―・ルーアン美術館(ルーアン、2020年)、 「クリテリオム96 村上華子」水戸芸術館(茨城、2019年)、「アルル国際写真祭新人賞」アルル写真祭(アルル、2019年)、「ANTICAMERA (OF THE EYE)」タカ・イシイギャラリー(東京、2016年)、「資本空間-スリー・ディメンショナル・ロジカル・ピクチャーの彼岸: 村上華子」gallery αM(東京、2015年)、「パノラマ17」ル・フレノワ: フランス国立現代アートスタジオ(トゥルコワン、2015年)、「日常の実践」国際芸術センター青森(青森、2011年)、「トーキョーストーリー」トーキョーワンダーサイト(東京、2010年)が挙げられる。

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