EXHIBITIONS

「YAKIMONO」

会期: 2021年10月12日(火) – 11月7日(日)
会場: タカ・イシイギャラリー(complex665)
参加作家: 日下翅央リズ・ラーナーマシュー・ルッツ・キノイ & ナツコ・ウチノウィリアム・J・オブライエンスターリング・ルビールシア・ビダレス

安心して作品をご覧いただけるよう様々な感染症対策を徹底しております。

タカ・イシイギャラリーはグループ展「YAKIMONO」を開催いたします。本展では日下翅央、リズ・ラーナー、マシュー・ルッツ・キノイ & ナツコ・ウチノ、ウィリアム・J・オブライエン、スターリング・ルビー、ルシア・ビダレスによるセラミック作品をご紹介いたします。

展覧会名「YAKIMONO」はまさしく焼き物を意味します。

セラミックは有史以前から現在に至るまで、表現媒体として最も豊かな歴史をこの地球上で育んできました。それは日用品の陶器や装飾された壺、塑像に始まり、近年では現代の作家たちによる技法の多様化によって再び注目を集めています。20世紀に芸術の文脈においてセラミックの変性を最初に利用したのは、リシツキーやマレーヴィチ、そして未来派やバウハウスの作家を含む前衛芸術家たちでした。第二次世界大戦後、ルーチョ・フォンタナやパブロ・ピカソ、ルイジ・オンターニなどの作家たちは、芸術的アプローチによってセラミックを純粋なアート作品へと昇華させました。

土は現代美術の中でますます中心的な存在になってきました。現代の作家たちの多くはその伝統的技法の正式な教育を受ける代わりに、物理的な満足感を見出しています。

ルイーザ・エルダートン、レベッカ・モリル
『Vitamin C』(Phaidon、2017年)

日下翅央は1972年岩手県生まれ。現在はロサンゼルスに在住。2001年ワシントン大学美術科卒業。日下は陶器作品の制作において革新的なアプローチを用います。一方では弥生時代の土器やアグネス・マーティンの絵画作品から影響を受けた抽象的な模様を表面に生み出し、また他方では家族との日常生活に登場する果物やボール、恐竜などをモチーフとして直感的に取り入れます。動物をかたどった小さな作品である《group 35》と《group 39》においては、日下の他作品にも共通する、遊び心を探求することへの関心の高さが見受けられます。

マシュー・ルッツ・キノイは、1984年ニューヨーク生まれ。現在パリを拠点に活動。ナツコ・ウチノは、1983年熊本生まれ。現在南フランスを拠点に活動。マシュー・ルッツ・キノイとナツコ・ウチノは絵画やドローイング、パフォーマンスといった多分野にまたがる独自の芸術活動を行なっています。両者の共同によるセラミック作品の制作は「Keramikos」の名のもとに生み出されています。本展で展示されているセラミック作品《Keramikos II》は2012年に制作された300点以上の大規模なディナーセットの一部です。その歴史に対応するように、セラミック作品は作家たちがデザインしたテーブルに展示されています。食材の準備、漬け物、セラミックの窯、庭、そしてセラミックそれ自体の制作が写された当時の写真が新聞用紙にシルクスクリーンで印刷され、ポスターとして貼られています。

リズ・ラーナーは1960年サクラメントに生まれ、現在ロサンゼルスを拠点に活動。1985年カリフォルニア芸術大学を卒業。ラーナーは様々な焼成と釉薬がけの実験的技法によって独自の質感や形態を生み出し、セラミック作品の物質性を追求します。制作過程における予測不可能な現象や不安定さも積極的に取り入れ、使用する素材が由来する大地の地質学的要素にも言及しています。鮮やかな色彩の作品を壁面に垂直に展示する手法は、絵画や彫刻、あるいはその両方としてラーナーの作品をどう認識するのか鑑賞者に改めて問いかけます。

ウィリアム・J・オブライエンは1975年オハイオ州クリーブランド生まれ。現在シカゴを拠点に活動。2005年シカゴ美術館附属美術大学修士課程修了。オブラエインは紙、粘土、テキスタイル、セラミック、鋼、さらにファウンド・オブジェクトや日用品など多様な素材の可能性を探りながら作品制作を展開し、とりわけセラミックの立体作品がよく知られています。鮮やかな釉薬が施された遊び心のある作品は、民族史、伝統工芸、詩、ポップやサイケデリックな文化、さらにはゲイ・ミニマリズムといった広範にわたる参照領域を含んでいます。

スターリング・ルビーは1972年生まれ。ルビーは光沢のあるポリウレタンやブロンズ、鋼鉄を用いた立体作品から、ドローイングやコラージュ、ふんだんに釉掛けした陶器、油彩画、写真、映像、さらにはキルト、タペストリー、衣服、ソフトスカルプチャーといった布作品まで、多様な素材や技法を駆使します。作家は「CLUB」のシリーズに関して、垂直に自立したオブジェクトであると言及しています。その一部は人間の立ち姿を示唆する一方で、シリーズ内の他の作品は人工物として発掘されたであろう古代の武器や道具に似た鈍いオブジェクトです。「CLUB」は使用することを促すように自立し、手に握って武器や笏、あるいは杖のように使うことを待っています。

ルシア・ビダレスは1986年メキシコシティ生まれ。現在はモンテレイに在住し、モンテレイ大学で教鞭を執りつつ制作活動を展開。2009年にナショナル・インスティテュート・オブ・ファイン・アーツ(INBAL)の国立絵画彫刻版画学校「ラ・エスメラルダ」を卒業。2014年にはメキシコ国立自治大学(UNAM)の美術デザイン学部を修了。ビダレスのセラミック作品は古代メキシコの素焼きの慣例や装飾品の様式を参照し、20世紀の巨匠たちとの対話を促す若い声の代表となっています。

協力: BLUM & POE、Regen Projects

Press Release Download