EXHIBITIONS

平田実 「ACTION: Vintages from the 1960s」

会期: 2021年3月30日(火) – 5月15日(土)*
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム

*本展は5月12日(水)より再開の予定でしたが、政府からの緊急事態宣言の延長に伴う休業要請を受け、終了とさせていただきます。

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、3月30日(火)から5月15日(土)まで、平田実 「ACTION: Vintages from 1960s」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーで3度目の個展となる本展では、平田が1960年代に撮影を行った、前衛芸術家たちの活動の膨大な記録のなかから11点のヴィンテージプリントを展示いたします。

1960年代初頭から、日本の美術界では、欧米から拡散したフルクサスをはじめとして、既成の芸術表現から逸脱し、パフォーマンス、ハプニングといった行動や行為による前衛芸術活動が、若い芸術家たちによって盛んに巻き起こりました。これらのパフォーマンス・アートが芸術作品として確立するために、記録としての写真は重要な役割を果たしました。記録されることを必ずしも念頭に置かなかった行動や行為。偶然性や一過性を積極的に受け入れるこれらの芸術活動に対し、写真家はそれらをどのように切り取るかに集中し、被写体と撮影主体との間には芸術的交感が生じました。そして、これらの芸術活動は写真により作品として昇華されます。

1960年頃、フリー・フォトジャーナリストとして活動していた平田は、当時の米・NANA通信社東京支局の仕事で篠原有司男の「ボクシング・ペインティング」を撮影したことをきっかけに、美術界との接点を持ち始めます。以後、風倉匠や刀根康尚、高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之、小野洋子といった当時気鋭の若手芸術家の面々と交流を深めていきます。彼らが次々に展開する芸術活動に魅了された平田は、彼らの行為を作品として写真に収めていきました。

平田は彼らのパフォーマンスを撮影するだけに留まらず、フォトジャーナリストという自身の立場から、写真記事として活字メディアへ紹介し、時には自ら執筆までこなしました。自身の眼前で起きる行為を記録し、さらに記事にすることで、現場に偶然居合わせた観客にしか見られることがなかった一時の作品が社会の中でより多くの人の目に留まる機会を作り、作品のプロモーションに貢献しました。平田の写真は数々のパフォーマンスに関して現存する唯一の記録となると共に、単なる記録の域を超え、それ自体が作品としての魅力を備えています。本展では、秋山祐徳太子、集団蜘蛛、ゼロ次元、ハイレッド・センター、万博破壊共闘派らのパフォーマンスを収めた作品をご紹介します。

平田実は1930年東京生まれ(2018年没)。国会速記者を経て、独学で写真を始める。1953年『アサヒカメラ臨時増刊 國際寫眞サロン』への写真発表をもって実質的な写真家デビューを果たし、以降フリー・フォトジャーナリストとして活動。1950年代から70年代にかけて、戦後復興から高度経済成長へと向かう東京の街や社会、市井の人々の姿を記録する。また1960年代には、小野洋子、赤瀬川原平、篠原有司男、ハイレッド・センター、ゼロ次元といった前衛美術家たちの活動を写真に収め、週刊誌への掲載を通し広く紹介。対象や状況に積極的に関与し主体的に撮影を行う平田の姿勢は、1960年代後半から70年代前半の沖縄を捉えたシリーズや、スカイ・スポーツを取材した写真群としても結実している。近年の主なグループ展に「Postwar: Art Between the Pacific and the Atlantic, 1945–1965」Haus der Kunst(ミュンヘン、2016年)、「Japanorama. New vision on art since 1970」Centre Pompidou-Metz(メッス、2017年)、「1968年―激動の時代の美術」千葉市美術館、北九州市美術館分館、静岡県立美術館へ巡回(2018-2019年)、「アジアにめざめたら―アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代」東京国立近代美術館、韓国国立現代美術館、National Gallery Singapore(2018-2019年)など。主なパブリック・コレクションにTate Modern、Hirshhorn Museum and Sculpture Garden、韓国国立現代美術館、東京ステーションギャラリーなど。

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