EXHIBITIONS

アネット・ケルム

会期:2008年10月11日(土) – 11月8日(土)
オープニング・レセプション: 10月11日(土) 18:00 – 20:00

ケルムの写真には誇張も、象徴も、秘められたものも全くない。
-イェンス・アストホッフ

タカ・イシイギャラリーでは10月11日から11日8日まで、ベルリンを拠点に活躍するアネット・ケルムの初個展を開催致します。本展ではドイツのプレハブ家屋を写したシリーズ作品および新作を展示いたします。近年ケルムは国際的に幅広い個展そしてグループ展に参加しています。2008年には、CCA Wattis, Institute for Contemporary Art(サンフランシスコ)、 Witte de With(ロッテルダム)、また KW, Institute for Contemporary Art(ベルリン)にて個展「Passengers」を開催しました。

ケルムの作品はその極めて明晰なイメージを特徴とし、その純粋さは鑑賞者を惑わす何かを内包しています。彼女の作品の構図は非常にわかりやすく、フレームの中に完璧に落とし込まれ、ともすると雑誌の紙面や広告に見られる写真のような印象を与えます。

写真の焦点は明確ですが、そこに写る主体の文化的・歴史的位置づけを簡単に伺い知ることはできません。

彼女の作品のメッセージそれ自体が鑑賞者に迫ってくることは決してありません。しかしながら、暗号のような隠されたメッセージもまたケルムの作品には存在しないのです。

本展ではこれまでとは異なるアプローチを追求した、まるで被写体を科学的に調査するかのような一連の写真を展示します。4x5カメラで撮影された本展の写真は、20世紀初頭にドイツで人気を博したプレハブ家屋を主体としています。

ケルムは以下のように述べています。「これらのプレハブ家屋はモデルルームとして展示されたり、国際的な建築見本市に出展されたものです。」それぞれの家は孤立しており、まるで彫刻のように誇張のない単なる物体として扱われています。

ケルムの作品はちょうど「記録」と「演出」の間に横たわっており、それが何かを知る行為よりも、見るという行為自体が先行します。