EXHIBITIONS

森山大道 「25時 shinjuku, 1973」

会期:2006年7月25日(火) – 8月26日(土)

タカ・イシイギャラリーでは、7月25日(火)から8月26日(土)まで、森山大道個展を開催致します。
本展では、1973年に新宿で撮影された森山大道の映像作品「25時 shinjuku, 1973」を初公開致します。

17分間、フォーカスの合ったシーンなど1秒たりともなく、目に映るイメージは、 ただただ、ボケて、流れて、ざらりと荒れているだけ。
ぬるい夜の、白けた闇の世界に、ぶら下り、ひっかかり、ちぎれ飛んでいく光茫。
35年もまえの、新宿の、深夜のアトモスフィア。
サウンドは、ナナハンのマシンのエンジンとタクシーのクラクション。
写したぼくは、かぎりなく懐かしい、あの頃の、新宿の25時に立ち戻っていた。
「写真よさようなら」の8ミリビデオ版。
森山大道

この映像作品は、新宿区が街のプロモーションフィルムの制作を森山に依頼し、 1973年に8mmビデオで撮影されたものです。しかし、完成した映像は、どこの国かわからない、 国籍不明の映像だったため、未公開のまま30年以上も眠っていました。
森山の写真の特質であるアレ・ブレ・ボケはこの映像にも如実に表れており、 画面は風に飛ばされるように揺れ、夜の街は抽象の光の軌跡となって現れては消え、 カメラは具象とも抽象ともつかないモノクロームの世界を辿っています。
また、映像作品の上映に合わせて、この映像を複写した撮り下ろしの写真作品を発表致します。
「写真は複写だ」という自身の言葉通りに、森山の行為には、複写という媒体への 変わらない関心がうかがわれます。是非この機会に合わせてご高覧くださいませ。