EXHIBITIONS

今井智己 「別の時」

会期:2004年7月10日(土) – 31日(土)

タカ・イシイギャラリーでは2004年7月10日(土)から7月31日(土)まで、今井智己展を開催致します。2002年から今年にかけて撮影した新作のカラープリント作品13点を展示・販売致します。

これらの写真は、見るということと切実さということ、この2つについての写真です。それ以外には ほぼなにも考えずに撮った写真ですが、いくつか気にかけたこともあります。
蔦が木の幹にからみつくときに発する かすかな軋みに耳を向けること。
眼の奥のほうで見ること。
まだ見たことのない強く美しい瞬間を見いだすこと。
そして ものの在り様のちょっとした過剰さに気を留めること。
写すものは、ほかのどんなものでもありえた、しかしまさにそれだと思えるものです。そして森を写すときは街路を想像し、街路を写すときは森や部屋の情景を想像しています。それらはひとつの切断面にのぞく異なる要素です。いくつかの要素が共振する油断のならないシンフォニー。
そんな言葉がいつも頭にありました。
今井 智己

2001年の処女作品集『真昼』の表紙は、暗闇の中で鈍く照り返すガードレールを捉えた夜景であった。今回の新作の魅力は、このような『真昼』シリーズとの相違から来るのではなく、むしろ街路、森、部屋といった日常的な風景への作者の変わらぬ強い眼差しにあるのかもしれない。画面に人が登場せず静謐な印象すら与えるプリントの表層を見つめるうちに、草木の呼吸や街路の気配、部屋の余韻、そして作者自身の細胞や神経の興奮まで、日常に潜む様々なざわめきを感じることだろう。
パリ・ローマ・東京を巡回した「Black out」展(2002-03)、昨年の「Void」展など、国内外で注目を集める今井智己の新作展を是非ご高覧くださいませ。