EXHIBITIONS

荒木経惟 「梅ヶ丘墓情」

会期: 2019年5月25日(土) – 6月15日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー 東京

タカ・イシイギャラリーは荒木経惟の個展「梅ヶ丘墓情」を開催いたします。1994年のギャラリー開廊以来、四半世紀にわたりほぼ毎年開催された荒木の個展は、今年27回目を数えます。本展では、中判フィルムにて撮影したカラー、モノクローム写真の新作約90点を発表いたします。

荒木の作品には「東京ヌード」(1989年)、「東京物語」(1989年)、「東京コメディ」(1997年)など、自身の生まれ育った「東京」を冠するものが多く存在しますが、今回の展示作品のタイトルに荒木は現在居を構える「梅ヶ丘」を選びました。梅ヶ丘の自宅内とその周辺で撮影された作品群の被写体は、人形、像や怪獣のオブジェ、花、モノクロームの空が大半を占めますが、リズムを刻むように妻陽子や今年95歳のロバート・フランクの写真、今は亡き父と母、夭折した二人の兄の没年を記したメモが挿入されます。

昭和から平成への改元時や2000年の世紀の変わり目など、荒木はその時代を謳歌した女性達、当時の出来事、変わりゆく街並みをカメラによって「複写」することで、時代の節目の世相を作品にまとめて来ました。元号が「令和」に改まる今年、荒木の関心は自分自身にあります。体力が日増しに衰え、外出を控えることの多くなった荒木は、自らに忍び寄る死を意識しています。父、母、そして妻陽子、愛猫チロの死を、被写体として写真に収めることで看取って来た荒木のレンズは、自身へと向かいます。

撮りたいものや撮る習慣になっているものを淡々と写す日々――ありのままに提示される写真の堆積を前に、その解釈は見る者に委ねられています。すべてを受け入れるカメラと化した今年79歳を迎える写真家の最新作を是非この機会にご高覧ください。

展覧会に合わせ、写真集『梅ヶ丘墓情』を刊行いたします。

【写真集詳細】
荒木経惟 『梅ヶ丘墓情』 タカ・イシイギャラリー刊(2019年) 
発売予定日: 2019年5月25日(土)
詳細はギャラリーへお問い合わせください。

70年代より荒木は被写体との親密な関係性を写した写真作品で高い評価を受け、妖艶な花々、緊縛ヌード、空景、食事、東京の街、飼い猫など、様々な被写体から強烈なエロスとタナトスが漂う独特の写真世界を確立。精力的に刊行し続ける写真集はこれまで520冊以上に及び、同時に国内外の数々の美術館にて展覧会を開催。戦後日本の写真界を代表する作家として世界的に知られている。

おもな個展に「センチメンタルな旅、1971-2017-」東京都写真美術館(東京、2017年)、「Araki」ギメ東洋美術館(パリ、2016年)、「往生写集-顔・空景・道」豊田市美術館(2014年)、「荒木経惟写真集展アラーキー」IZU PHOTO MUSEUM(静岡、2012年)、「私・生・死 」バービカン・アートギャラリー(ロンドン、2005年)、「花人生」東京都写真美術館(東京、2003年)、「Suicide in Tokyo」ジャルディーニ・ディ・カステッロ(ヴェニス、2002年)、「Tokyo Still Life」イコン・ギャラリー(バーミンガム、2001年)、「Nobuyoshi Araki」ゲント市現代美術館(2000年)、「荒木経惟 センチメンタルな写真、人生」東京都現代美術館(1999年)、「Tokyo Comedy」ウィーン・セセション、(1997年)、「荒木経惟・私日記」、カルティエ現代美術財団(パリ、1995年)、「アクト・トーキョー1971-1991」フォルム・シュタットパルク(グラーツ、1992年)がある。日本写真協会・年度賞(1990年)、オーストリア科学・芸術勲章(2008年)、第54回毎日芸術賞・特別賞(2012年)、第 6 回安吾賞(2012年)を受賞。

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