EXHIBITIONS
荒木経惟 「VINTAGE PRINTS」
会期: 2018年4月4日(水)– 4月28日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー ニューヨーク
オープニング・レセプション: 4月6日(金)18:00–20:00
トーク・イベント: 4月7日(土) 15:00 – 16:00
タカ・イシイギャラリー ニューヨークは、2018年4月4日(水)から4月28日(土)まで、荒木経惟の個展を開催いたします。ニューヨークスペースでの初個展となる本展では、荒木がフリーの写真家として活動し始めた70年代と、それに続く80年代を代表する作品集『東京は、秋』(1984年)、『荒木経惟の偽日記』(1980年)、『東京物語』(1989年)、『平成元年: 荒木経惟写真集』(1990年)などに収録された作品のヴィンテージ・プリント21点を展示いたします。
1972年に電通を退社後、商業写真の仕事から遠ざかり時間に余裕ができた荒木は、ジャン=ウジェーヌ・アジェやウォーカー・エヴァンズの影響から、三脚に固定した55ミリレンズ付きのペンタックス6×7を肩に担ぎ東京の街を撮影し始めます。イメージ全体を細部まで写したこれらの写真は、当初「LIFE」と名付けられますが、その後1984年に『東京は、秋』という写真集として出版されました。自らは表現せずに、「街が(既に)表現しているものをただ複写する」という荒木の写真家としての態度は、花々、ヌード、ポートレート、空、食事、飼い猫など、他の被写体に対する姿勢とも共通します。
実質的な処女写真集『センチメンタルな旅』(1971年)から一貫して、自身と撮影対象との親密な関係性を重視してきた荒木は、エロスとタナトスが緊密に結びついた独自の写真世界を70年代・80年代を通して確立していきます。これに平行して、自身の写真に事実とは一部異なるドキュメンタリー調テキストを添えた『荒木経惟の偽ルポルタージュ』(1980年)や、カメラの日付表示機能を用いて、実際とは異なる撮影年月日を表示させた『荒木経惟の偽日記』(1980年)など、写真に潜在する虚構性を引用した作品を発表しています。後者に収録された写真は、その後のコンパクトカメラによる日付入り「写真日記」作品の原型となりました。
小津安二郎の映画からタイトルが引用された『東京物語』(1989年)は、荒木写真の新たな展開を示した重要なシリーズといえます。自宅のバルコニーの雪景色や妻陽子、愛猫チロとの日常のイメージが、ヌードや無機質な表層を備えた都市風景と交差することで、哀愁漂うヴィジュアル・ナラティブが紡がれます。翌年に出版された『平成元年: 荒木経惟写真集』は、昭和天皇の死から始まる1989年の1年間に撮影された写真で構成されます。大喪の礼や、この年に子宮筋腫と診断された妻陽子の写真からは、死(タナトス)が濃厚に香ります。
1990年に妻陽子を失う直前までの、荒木の約20年間を俯瞰する貴重な作品群を是非この機会にご高覧ください。
協力:Alison Bradley Projects
本展の開催に際して、金子隆一氏をお迎えしトーク・イベントを行ないます。
日時: 2018年4月7日(土)15:00 – 16:00
ゲスト: 金子隆一氏(写真史家)
本展の開催に合わせ、展示作品21点を収録したカタログが刊行されます。
【作品集詳細】 Nobuyoshi Araki『VINTAGE PRINTS』 Dashwood Books刊(2018年)
販売価格: 未定
500部限定、ソフト・カバー、48頁、掲載図版21点、H7.75 x W6.0 inches、0.02kg
詳細はギャラリー、またはDashwood Booksへお問い合わせください