EXHIBITIONS

鈴木理策 「海と山のあいだ」

会期:2016年11月8日(火) – 12月21日(水)
会場:タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー パリ
作家来仏オープニング・レセプション: 11月8日(火)17:00 – 21:00
ブック・サイニング: 11月8日(火)17:00 – 21:00

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー パリでは、11月8日(火)から12月21日(水)まで、鈴木理策個展「海と山のあいだ」を開催いたします。本展では、「海と山のあいだ」シリーズから3点の作品、そして2004年に制作された「唯一の時間」シリーズより4点の作品をあわせて展示いたします。またこの度の個展においては、第二会場を&co119(パリ)に設け、「唯一の時間」で構成した展示もあわせて展開いたします。

「海と山のあいだ」の主題は、神話以前の風景を写しとることにあります。海から始まり、自然と人間の営みが長い時間をかけて形成した熊野古道を伝って、山中へと辿る道のりが記録されています。デジタルカメラや携帯で撮影された写真が氾濫する現代社会において、私たちが写真を見るという行為が情報の後追いとなってしまうことが多くなり、驚きをはらんだ視覚体験が困難になる状況が、鈴木に写真というメディウムに対して自覚的にならざるを得ない機会をもたらしました。かつて熊野に神話的光景を見出した太古の人間が目にした風景、人間が脳を通して対象を読み取り、それらを意味づける以前の原風景を写し撮りたいと、鈴木は、光や風や音に反応してシャッターを押すという、外部からの揺らぎを制作に招き入れる手法をとっています。

「唯一の時間」は、熊野地方の「御燈祭」と那智の滝を撮影した作品です。御燈祭は、毎年2月6日夜に行われる神倉神社の例祭で、全国の火祭の中でも最古の祭です。那智の滝は元来、自然信仰の聖地である那智山一帯に位置する四十八滝の総称でした。1995年から2004年までの間に、6×7インチフィルムカメラで撮影された写真がシークエンスの手法により再構成されています。鈴木は本シリーズについてこのように語っています。「炎や光といった露出オーバーになってしまう対象にあえてカメラを向けるのは、フイルムのラティチュードを超えて印画紙の白を含むものを作りたかったから。写真はイマージュ、つまり写っている内容があってはじめて成立するのであり、印画紙の白さだけではマチエールとして物質化してしまう。写真と呼べるものと白い印画紙、その境界線のそばに行ってみたかった。」タカ・イシイギャラリーフォトグラフィー パリでは、海から滝へと至る水の光景を、そして&co119では炎に包まれた祭りの光景を捉えた作品を展示いたします。&co119では、「唯一の時間」シリーズより5点の作品を展示いたします。

【第二会場詳細】
&co119
119 rue Vieille du Temple 75003 Paris
tel: 33 9 70 97 59 18
mail : contact@8co119.co
営業時間:12:00 – 19:00
定休日:日・月・祝祭日
URL: https://8co119.co

鈴木理策個展は、11月26日よりタカ・イシイギャラリー 東京においても開催されます。3会場での展示を通じて、自身の創作の全体像を提示する作家の意欲的な試みを是非ご高覧ください。

【同時開催予定の展覧会】
「Mirror Portrait」
会期: 2016年11月26日(土)‐ 12月24日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー 東京
東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
オープニング・レセプション: 11月26日(土)18:00–20:00

1963年和歌山県新宮市生まれ。1987年東京綜合写真専門学校研究科修了後、写真による創作活動を始める。1998年、故郷の熊野をテーマに初の写真集『KUMANO』を出版し、2000年『PILES OF TIME』で第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。2006年より東京藝術大学美術学部先端芸術表現科で教鞭をとる。2010年に1963年生まれの日本人写真家や批評家とともに「写真分離派」を立ち上げ、またニューヨーク、 チューリッヒで個展を開催するなど、国際的に活動の場を広げている。ライフワークともいえる熊野での 撮影の他、南仏のサント・ヴィクトワール山、セザンヌのアトリエ、桜、雪のシリーズといった多様な対 象を異なるアプローチでとらえているが、そこには「見ること」への問題意識と、写真というメディアの 特性への関心が貫かれている。主な個展に「意識の流れ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・東京オペラシ ティギャラリー・田辺市立美術館、2015-2016年)、「水鏡」(熊野古道なかへち美術館、2016年)、「 熊野 雪 桜」(東京都写真美術館、2007年)がある。作品は、サンフランシスコ現代美術館、ヒュースト ン美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館等に収蔵されている。

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