EXHIBITIONS

宮原夢画 「Renaissance」

会期: 2016年8月20日(土) – 9月17日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
オープニング・レセプション: 8月20日(土) 18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、8月20日(土)から9月17日(土)まで、宮原夢画個展「Renaissance」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの初めての個展となる本展では、宮原が昨年より制作を始め、現在も続いている最新作「Renaissance」と「Radiation」から、合わせて約13点を展示いたします。

アートディレクターであった父の影響を受け、幼い頃より芸術に親しんできた宮原は、10代後半には写真を志し、その後ファッションを中心とした広告写真やエディトリアルの分野の第一線で活動を続けてきました。他方で作家としては、写真の歴史や古典技法にも関心を深め、眼前の瞬間を捉えるスナップ写真から、絵を描くが如くイメージを構築するセットアップ写真まで、宮原は異なる技法・ジャンルを軽やかに行き来し作品を発表しています。また、広告写真の経験を経てモード誌の本場・西洋の模倣に留まることに違和感を覚えた宮原は、自身のアイデンティティを模索する中で日本の歴史や伝統文化に対する造詣を深め、そこでの学びや気づきを感性的に自身の作品制作へと反映させています。

多様な展開を見せる自身の創作について、宮原は次のように述べています。

ゆっくりと目を閉じて暗闇の中に入っていく。しばらくすると果てしなく遠くから一点の光が差し込んでくる。
その光がだんだんと増えていき交錯する。夢の中なのか、祈りなのか……
そこには規則も法則も概念もなにも無い。
私はそこに居て写真をつくる。

2016年6月 宮原夢画

自身のプリントを破り、散らばったパーツを無造作にコラージュした「Renaissance」シリーズは、作家にとってまさにそこに新たに生命を吹き込む営みであり、自身が操作しうる小宇宙の表出でもありました。現実に存在する立体物を平面に写し取ったプリントがばらばらになり、イメージの固有性をある部分では失い、またある点ではその記号性を強めながら、他のパーツと混ざり合わさる過程に、宮原は覗き穴から壁の向こう側を見る時の高揚感を感ずると言います。完成図を念頭に置いた精密なパズルとは異なり、本シリーズにおけるコラージュのパーツは画面の上を自由に動き回り、作家の手は自身の意識を超えてその世界を支配しています。

こうした絵やものによる子供の遊びにも似た要素は、「Radiation」においても顕著に表れています。作家が幼少期に好んで描いていた、色を重ねた上を削ると下に塗った色が出てくるクレヨン画に着想を得た本シリーズは、同じく宮原が強く惹かれているという放射状のモチーフをイメージに重ねています。宮原は、放射状に広がる光に生命のエネルギーの放出と収斂、さらにはその呼応にこちらとあちらの世界の接地を見出しています。本作においては、放射状のモチーフは無為の空間を象徴するように全面に、あるいは無数に配され、宮原にとっての祈りにも近しい表現として示されています。

宮原夢画は1971年東京都生まれ。1993年にビジュアルアーツ卒業、桑沢デザイン研究所に入学。1996年にフリーランスフォトグラファーとして活動を始め、2001年にはイマージュに所属するも、2010年に独立し自身の写真事務所Muga Miyahara Fotografiaを設立。広告写真やエディトリアルで活躍する一方、古典からデジタルにいたる様々な写真技法を用いて、日本文化に根差した感性的な表現を探求している。主なグループ展に、宮原夢画・諏訪綾子二人展「味身」Gallery POINT(東京、2011年)や「IPPO-いっぽ」Muga Miyahara Fotografia(東京、2011年)など。主な個展に、「TOKONOMA & Nulla nasca dal nulla」エモン・フォトギャラリー(東京、2008年)、「invisible layers」MICHEKO GALERIE(ミュンヘン、ドイツ、2010年)、「散華 sange」hpgrp gallery(東京、2013年)、「シンケンシラハドリ」72 Gallery(東京、2014年)など。1992年に日本写真家協会JPS展入賞、2005年毎日広告デザイン賞を受賞。主な写真集に『シンケンシラハドリ』(Omoplata刊、2014年)、『散華』(atelier vie刊、2013年)など。

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