EXHIBITIONS

荒川医 「リエゾン、ア・ナイーヴ・パシフィスト」/サム・ルウィット 「From A to Z and Back」

会期:2009年5月8日(金) – 6月13日(土)
オープニング・レセプション:5月8日(金)18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー京都は、2009年5月8日(金)から6月13日(土)まで、荒川医による世界初個展並びにサム・ルウィットによる日本初個展を同時開催いたします。以下、両名の経歴とともに、今回の個展に先立ち二名が発表したメッセージを御一読ください。

荒川医 Ei Arakawa
1977年日本生まれ  現在ニューヨークにて活動
2005 年– 2006年 ホイットニーミュージアム(ニューヨーク)Independent Study Programに参加。

グループ展:The Power Plant(トロント、2008年)、横浜トリエンナーレ2008、New Museum(ニューヨーク、2008年)、MUMOK(ウィーン、2008年)、PERFORMA 07(ニューヨーク、2007年)、REENA SPAULINGS(ニューヨーク、2007年)、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン、2007年)、The Judson Church “About Town”(ニューヨーク、2006年)、Galerie Gisela Capitain(ケルン、2006年)、越後妻有アートトリエンナーレ2006(新潟、2006年)

サム・ルウィット Sam Lewitt
1981年米国生まれ 現在ニューヨークにて活動
2005年 ホイットニーミュージアム(ニューヨーク)Independent Study Programに参加。
2004年 BFA, The School of the Visual Arts(ニューヨーク)

個展・グループ展:the Swiss Institute(ニューヨーク、2008年)、Miguel Abreu Gallery(ニューヨーク、2008年)、Galerie Daniel Buchholz(ケルン、2007年)、Galerie Christian Nagel(ケルン、2007年)、

サム・ルウィット
From A to Z and Back

「From A to Z and Back」は無償提供という行為を用いた動的作品(* 現在も進行中の作品)である。今回の作品のため、私は50枚のコインを特別にデザイン・鋳造し、2009年1月の1ヶ月間に日頃付き合いのある私の友人・同僚に無償で配布した。このコインを鋳造したAmerican manufacturer社のカタログによれば、このコインは「アンティーク・シルバー」仕様で(実際のところ、安価な亜鉛合金なのだが)、コインの裏表にはそれぞれ「A」と「Z」の図柄が刻み込まれている。あまり歓迎されない贈り物としてコインは人々の間を行き来し、その過程でコインの輪郭は徐々に丸みを帯びるが、同時に今回のプロジェクト全体としての言語的情報交換量は膨らんでいくのである。

今年5月にタカ・イシイギャラリー京都に展示される一連のポスターとコインのカタログを用いた作品は、この無償提供行為を祝うもので、コインの姿形を公的に認識させる役割を担う。今回のプロジェクトには、資格を与えかつ制限する行為(* コインを渡す人を選ぶ[資格を与える]ということは、コインを受け取る人間が制限されるということ)を計画的に拡散する意図も含まれる。
2009年にこの個展が世界各地で開催されるにあたり、現地言語で書かれるポスター上の言葉は、拙い翻訳の結果生じる見苦しさを伴いながら言語と言語の狭間に陥り、結果として言語を言語たらしめる表層的な外延的機能を喪失する。私は今回のプロジェクトにおけるコミュニケーションの稚拙さが、言語の「参照の銀河」たるを、世に再認識させることを願ってやまない。

個展「From A to Z and Back」を日本という文化的背景の中で開催することにより、私はあらゆる種類の興味深い混乱が起きると見込んでいる。コインに刻まれたローマ・アルファベット文字が明示するように、私のこれまでの作品はすべて欧米という地理的・言語的枠組みの中で発表されてきた。作品名の一部である「Back」が意味する、まるで自身をその中に閉じ込めるかのような、ローマ・アルファベットの配列に基づいた(* ZからAへ回帰することによる)文字の循環という点において、日本語の文字群はコインに記された文字をその「参照母体(=欧米の言語)」から切り離すことにより、少なくともこの循環からの離脱行為をもたらすようである。しかしながら、私は自分自身に言い聞かせる必要がある。循環からの離脱先は、単なるコインの輝きにすぎないのかもしれない。言語が抽象的な等価値の印を露わにする際、文章に込められた意味を問うという行為は、通貨における価値とはなにかという事柄と同様の様相を呈し始める。* 印は訳者注釈

荒川医 「リエゾン、ア・ナイーヴ・パシフィスト 」
わたしは1996年に世界一周航海の旅に出た。その頃のわたしは「未熟な平和主義」だったと思う。

今回、その航海で出会った友人・知人らと共に、わたしの過去に行なったいくつかのパフォーマンスを再現する(わたしの作品は常にグループで行われる)。これらのパフォーマンスはオープニング前の2、3日間で行なわれ、一般公開はされない。 ただし、この非公開のイベントのために、ポスターがいくつかのエディションで製作される。参加者は、わたしの作品や活動をほとんど知らない。よってパフォーマンスは完璧に再現できないだろう。わたしたちはギャラリーの階段、倉庫、リフトなどをステージとして使う。この復元作業は写真に記録され、白黒コピーで大きな紙にプリントアウトされる。これらが床に敷かれるのもいいかも知れない。映像ギャラリーでは、再現パフォーマンスごとに完成したストラクチャーか「何ものか」を順々に上映する。

わたしは在ペルー日本大使公邸が MRTA (トゥパク・アマル革命運動)によって占拠されている時に、公邸の外側でラリーに参加していた。

回顧展のようで、実はすべて新作展。2、3日で完成するこの作品は、数年にさかのぼる過去が生み出すもの。

わたしは連絡係(リエゾン)になる。
(注意:当時のMRTAとその外側との連絡係のことではない。)

シルケの絵を借りることはできるだろうか?オープニングは、大々的なパフォーマンスの代わりに、サムと一緒に10分ほどのアナウンスパフォーマンスをするのがいいかも知れない。コピー機が必要になると思う。今回の再現劇は、ある世界の境界を探ること。

Liaison, a Naïve Pacifist(または cruise)。

過去のすべてのパファーマンス、あらゆるパフォーマンス:Eurovision2006 as Reconstruction Moodの階段、Togawa Fan Clubの動く箱、Metropolisのパネル、Two Grahamsの柵、Kissing the Canvasのテープとコートラック、On Kawara’s Esperantoの偽ペインティング、Riot 8 Barsの動くバー、Toward a Standard Risk Architectureのお店の前のストラクチャー、Non-solo show, Non-group showの鉄製メタルバスケット、BYOFの絵画ストラクチャー、TCCA magazineの雑誌、The Club in the Shadow パフォーマンス、Mid-Yuming as Reconstruction Mood、The Poetry Project パフォーマンス、Patti’s New Mantra、グランド・オープニングス、The Metal Magazine パフォーマンス、1979 Pink Floyd as Reconstruction Mood、RIOT THE BAR、Azimi Book、”ghost/fantasma”、Egypted、Friendships, Outdsides、homelessness, YUMING CITIES、The Color Ball、Ouroboros、LTTR ストリート・パフォーマンス、The Webでのパフォーマンス、、、