EXHIBITIONS

ヘレン・ミラ

会期:2009年1月10日(土) – 2月14日(金)
ライブ・パフォーマンス:1月10日(土)17:00 - *入場無料
オープニング・レセプション:1月10日(土)18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー 京都では、2009年1月10日(土)から2月14日(金)まで、アメリカ人アーティスト、 ヘレン・ミラの日本初個展を開催いたします。マサチューセッツ州ケンブリッジにて活動をしているミラは、現在スイス・バーゼルのアーティスト・イン・レジデンスStiftung Laurenz-Hausに滞在しています。

DAAD Galerie(ベルリン)、 ダラス美術館、バークレー美術館、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、ルネッサンス・ソサエティー(シカゴ)などで個展を開催する傍ら、ミラはナショナルミュージアム(オスロ)、MARTa Herford(ヘイフォルト・ドイツ)、White Columns(ニューヨーク)、 クンストフェライン(ハンブルグ)、第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ、シカゴ現代美術館、ステデライク・ミュージアム(アムステルダム)などのグループ展に参加しています。

今回の初個展は18点のカラープリントにより構成されます。9つの被写体が写ったフィルムを、表面から一度、裏面からもう一度それぞれプリントすることにより、9対合計18点の作品が存在します。彼女が何気なく撮影した今回の作品の被写体は、森の木々とそこにかけられた鳥の巣箱です。展示には京都ギャラリーの大小2つのスペースの両方を利用し、対となる作品がそれぞれ別のスペースに展示されるため、1対を同時に鑑賞することはできない展示形式となっています。ミラはスイス・ベルン郊外のワルダウにある、作家ロベルト・ヴァルザーが療養したこともある精神科診療所で今回の作品を撮影しました。ヴァルザーの極めて細かい手書き文章は、使用済みのベニヤ板を利用したミラの最近のペインティング作品の土台となっています。

ミラの作品は無駄をそぎ落とした抽象芸術を特徴とします。壁や床を使用する一連の作品には、自然現象に着想を得た落ち着いた色調が用いられ、廃材や索引形式にまとめた文章が頻繁に組み合わされます。今回の写真作品は従来のミラの作品とは大きく異なり、写真という極めて写実的な表現手段を用いています。しかし、究極的に彼女が追及していのは抽象的芸術表現なのです。

作品の展示に際し、ミラは対となる作品を同時に鑑賞できないようにと、明確かつ大まかな指示をしています(同時に鑑賞できないのであれば、地球上の別の大陸間に展示してもかまわないと指示しています)。展示作品群の間に設けられた物理的な隔たりが、ふたつの概念の隙間という、今回のプロジェクトの本質を体現しています。ミラの解釈、さらには現代美術の文脈によれば、対となる作品に映る主体は、写真という極めて写実的な表現手段における抽象表現の可能性、さらには写真以外の表現手段における抽象表現の可能性を投げかけているのです。

オープニング・レセプションに際し、ミラとErnst Karel がライブパフォーマンスを披露いたします。ミラはパーカッションを、Karel はスイス山岳鉄道にて録音した音源を使用いたします。