EXHIBITIONS

ケリス・ウィン・エヴァンス

会期:2015年3月20日(金) – 4月18日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 東京
オープニング・レセプション:3月20日(金)18:00-20:00
レセプション当日19:00より音楽家灰野敬二氏がライブ・パフォーマンスを行います。

タカ・イシイギャラリー東京は、3月20日(金)から4月18日(土)まで、ケリス・ウィン・エヴァンスの個展を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの4年ぶり3度目の個展となる本展では、モビール状の大型サウンド・スカルプチャー作品を中心に、本展の為に制作された新作3点を展示いたします。

ウィン・エヴァンスは映像作家としてそのキャリアを始め、80年代にかけて自身が「彫刻」と呼ぶ短編実験映像作品を多く手がけました。90年代以降その表現媒体はネオン、音、鏡、花火など広がりを見せますが、作品の基本に存在するのは独創的な引用で、その作品はいわば引用元と鑑賞者を結ぶ仲介役、もしくは手がかりと言えるでしょう。彼の作品にみられる引用は、文学、哲学、映画、音楽、そして天文学や物理学など多岐の分野に及び、作家の深い知性と哀愁、そして豊かな機知に彩られ、高度な媒介物に昇華された彼の立体作品およびインスタレーションは、黙想的な洗練に溢れています。

ウェールズ語と英語という2つの言語で育ったウィン・エヴァンスは、幼少期より同じ言葉が2種類の言語で表現できること、そして同じ概念を表すこれらの言葉の形が異なること、その意味に微妙なズレが存在することに大きな関心を抱いていました。彼の作品は、異質な媒体を介在させることで我々の認識の可能性を刺激し、ある概念と鑑賞者、そしてそれを媒介する物との間の関係を新たに構築する試みといえます。

本展で展示されるサウンド・スカルプチャーは、4つの円盤が吊された大きなモビール状の作品です。円盤の片面は鏡面に仕上げられ、もう片面には真正面の人1人分の極めて限られた角度にのみ音を送る特殊なスピーカーが内蔵されています。まるで瞑想するかのように均衡を保つモビールから、時折自分だけに届く重力にも似た繊細なノイズに晒される鑑賞者は、自身の空間認識の変化に気づかされることでしょう。

ケリス・ウィン・エヴァンスは1958年ウェールズのスラネリ生まれ。現在ロンドンを拠点に活動。近年の主な個展として、サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン、2014年)、ベルゲン・クンストハル(ベルゲン、ノルウェー、2011年)、バラガン邸(メキシコシティ、2010年)、カスティーリャ・イ・レオン現代美術館(2008年)、パリ市立近代美術館(2006年)、主なグループ展として愛知トリエンナーレ(2010年)、フロリアン・ヘッカーと共に参加したヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2009年)、「万華鏡の視覚:ティッセン・ボルネミッッサ現代美術財団コレクションより」森美術館(東京、2009年)、横浜トリエンナーレ(2008年)などが挙げられる。2015年10月にMuseion(ボルツァーノ、イタリア)にて個展を開催予定。

【作品集詳細】
タカ・イシイギャラリー刊(2015年4月中旬刊行予定)

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