EXHIBITIONS

アーヴィング・ペン 「Cigarettes」

会期: 2014年3月20日(木)- 4月19日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京・六本木 AXISビル)

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、3月20日(木)から4月19 日(土)まで、アーヴィング・ペン個展「Cigarettes」を開催いたします。ファッション写真の第一人者として知られるペンは、その生涯において多岐にわたるテーマの静物写真も撮り続けました。本展では、特に同分野での制作活動がめざましかった時期のシリーズのなかから、ペンが初めてプラチナ・パラディウム・プリントで発表したタバコの吸殻の連作16点を展示いたします。

1個のケーキを撮ることだってアートになりうる。

アーヴィング・ペン
(1953年スタジオ開設時の言葉)

吸殻を撮った写真がある。(中略)根元まで吸われ、打ち捨てられた吸殻を一つか二つか三つ、背景紙に並べて正面から写しただけの写真である。大型カメラを使い、階調が豊かで細部描写に優れたプラチナ-パラディウム・プリントで焼きつけ、吸殻についた汚れや皺、泥や埃まで細密に描写している。この写真に漂うエレガンスは、例えばシャネルの男性用コロンやクリニークの口紅を撮った写真や花を題材にした鮮やかな作品のそれと同質なものである。ハイ・ファッションも吸殻も、ペンのエレガンスの名のもとに同等であり、被写体として等価である。

笠原美智子
(『アーヴィング・ペン自選展』ウイルデンスタイン東京、1997年、エッセイより抜粋)

アーヴィング・ペンは、1917年ニュージャージー州に生まれました (2009年没)。フィラデルフィア美術大学在学中から、高名なアートディレクターであるアレクセイ・ブロドヴィッチのもとファッション雑誌『ハーパース・バザー』でデザイナーとして働き、初めて同誌に掲載されたイラストの原稿料で購入したローライフレックス・カメラでニューヨークの街を撮り始めました。程なくして写真の才能が開花し、初めて米『ヴォーグ』誌の表紙を手袋やバックといった静物だけの写真が飾るのは1943年、アーヴィング・ペンの最初の『ヴォーグ』誌表紙の写真でした。以降60年以上にわたり、静物、ファッション、ヌード、ストリート、ポートレート、花、世界各国の小部族の人々など、広範囲な被写体の作品を手がけました。主な写真集として『Inventive Paris Clothes, 1909-1939』(1977年)、『Flowers』(1980年)、『PASSAGE – A Work Record』(1992年)、『Still Life』(2001年)などがあります。
多分野にわたる被写体の選択眼のみならず、自然光を巧みに取り入れ、シンプルな背景にモデルを効果的に配置する独自の構図や、当時古典技法とされていたプラチナ・パラディウム・プリントへの積極的な取り組みなど、写真の新たな可能性を追求し続けたペンの姿勢は、商業写真/芸術写真の境界を横断するものとして高く評価され、現在もなお多くの写真家に影響を与えています。

Press Release Download