EXHIBITIONS
ヤン・ゲルストバーガー 「ECCHYMOSES」
会期: 2023年1月21日(土) – 2月18日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー(complex665)
オープニング・レセプション: 1月21日(土)18:00 – 20:00
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タカ・イシイギャラリーは、1月21日から2月18日まで、メキシコを拠点に活動するフランス人アーティスト、ヤン・ゲルストバーガーによる展覧会「ECCHYMOSES(斑状出血)」を開催いたします。
本展はゲルストバーガーの当画廊での初個展であると同時に、アジアではじめての個展となります。展示されるのは中型サイズのコラージュ・ペインティング5点で、それらはさまざまな布を貼りつけたり縫いつけたりしたキャンバスに、オイルパステルであざやかな色を加えた作品です。大型のタペストリーも1点展示されますが、これは作家が独自に考案した手法で制作したものです。元はモップだったコットン繊維を手染めし、工業用の布なども取り混ぜながらラグの上に接着することで、色彩豊かな画面を作り出しています。
痣や血腫とは、皮下に血液が閉じ込められることにより人体に現れるしるしです。皮膚に損傷はなく、微小血管だけがダメージを受けた場合に起こります。一般に、殴打や外傷を受けた際の反応として現れるもので、皮膚のほか、内臓器官や骨に生じることもあります。
こうした斑状出血を絵画のメタファーとして、本展は構成されています。身体にある種の染みを生じさせるような外傷を被った際に現れ、回復の過程として変化し続ける、色とかたちの抽象――ゲルストバーガーは斑状出血をそう捉え、今回のシリーズを制作しました。また、このアイデアは、体の脆弱性やそこに現れるさまざまなしるしについての熟考にもつながりました。今回のシリーズと並行するかたちで、彼はあらゆる地質年代を生き抜き、進化を続けてきた原始昆虫などの先史時代の生命形態について、調査を行ったのです。脆弱に見える体をもちながらも、原始昆虫はさまざまな逆境や困難を乗り越えてきました。自己回復のプロセスである斑状出血のような進化の過程を経て、昆虫はそれぞれの環境に適応し、いまも飛翔を続けているのです。
ヤン・ゲルストバーガーは1983年フランス生まれ。メキシコシティとプエルト・エスコンディードを拠点に活動。Museo Tamayo(メキシコシティ)、MO.CO.(フランス、モンペリエ)、Museo MATE(リマ)、オーストラリア現代美術センター(メルボルン)、パリ市立近代美術館(パリ)などで作品を展示。近年のプロジェクトに、Museo MATE、NGVトリエンナーレIan Potter Center会場(メルボルン、2020-2021年)での「A Mangrove at Dusk」など。