EXHIBITIONS

荒木経惟 「古希ノ写真」

会期:2010年5月8日(土) – 6月5日(土)
オープニング・レセプション:5月25日(火)17:00 – 19:00

タカ・イシイギャラリーでは、5月8日(土)から6月5日(土)まで、荒木経惟「古希ノ写真」を開催致します。70歳(古希)を迎えるに際し行われる本展では、中判(Fuji GF670カメラ)で撮影したカラーと白黒の最新作品を発表いたします。

「70は写真の入り口、100まで生きねば写真が撮れぬだろう」

荒木 経惟

古希を迎えることは荒木経惟にとって一つの転機である。エロ(性・生)とタナトス(死)をテーマに作品を発表し続けてきた荒木。この二つは常に平行線上にあるものであり、二つを切り離して考えることは不可能である。エロ(ス)が本質的な「生への衝動」であれば、タナトスは「死への衝動」「破壊的本能」の表れであり、荒木は常にこの生と死の縄張りの中で存在している。

荒木の作品からは「写真」に対する深い愛情を感じる。それは常に写真での表現にこだわり、フィルムを通して被写体、そして自身との対話を繰り返してきた結果生まれたものだろう。自分の目を通して見る偽りのない世界、何よりも荒木本人の「見るもの」と「見られるもの」を浸透する直接的なヴィジョンが作品に命を与えるのである。

最新作に影響を与えているのは愛猫、チロの死であろう。妻の死後、二人(ひとり・一匹)で歩み続けてきた。大切な人を失うことによって生まれる喪失感や孤独、そして「死」を間近に感じることによって深まる生(性)への欲。「死」を受け入れつつもみなぎる生命力、そしてさらに強化された生への執着を荒木の作品から感じとることができる。「死」無しでは「生」(性)は存在し得ないのである。

昨年「遺作」を発表した荒木だが、古希を迎える今、その先に見えるものは果たして何であろうか。本展では自身の過去を振り返りつつも未来へ目を向けている。自身曰く、「過去の作品が今の自分のやる気をふるい立たせ、作品を作る動機となっている」。「写真の入り口」に立つ今、荒木は自身の、そして写真の可能性を極限まで追求する。いわば挑戦状なのである。

作品集「古希ノ写真」5月25日発売予定
販売価格:¥7,350-(税込)、タカ・イシイギャラリー刊、500部限定、ソフトカバー、120頁、掲載作品310点(カラー作品300点・モノクローム作品10点)、B4変形判H316 x W261mm

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