EXHIBITIONS

村越としや 「濡れた地面はやがて水たまりに変わる」

会期: 2018年10月6日(土) – 11月10日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
オープニング・レセプション: 10月13日(土) 18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、10月6日(土)から11月10日(土)まで、村越としや個展「濡れた地面はやがて水たまりに変わる」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでは2年ぶり、3度目の個展となる本展では、2014年6月から2016年3月にかけて撮影された作品約18点を展示いたします。

村越は、2006年より故郷である福島を主たる撮影地に定め、見慣れた風景をめぐり写真を撮り重ねてきました。「自身の生まれ持ったモノやコトを削りとり、最後に何が残るのかを追求」する朴訥ともいえる写真行為は、確かな強度を備えた写真群として結実し提示されています。

写真を撮り続けることで生かされ、夢見ることで削られ奪われる、
竜巻のように吹き上げる力と渦巻きのように吸い込まれる力。
その二重螺旋が世の中で起こる現象と育んできた心象とを繋ぐ。
また写真を撮ることは取り返しのつかない過去への祈りであり、
新しい物語を紡ぐ糸口でもある。

2018年6月 村越としや

2011年に発生した東日本大震災と原発事故は、郷里の風景を特異な場へと変容させました。前回個展のタイトル「沈黙の中身はすべて言葉だった」は、災害の傷跡癒えぬ場所に佇み、撮影を続けていくことの意味を巡る問いの果てに、地元を撮っていくことこそが自身にとって紛れもない写真であると再び確信していく写真家の姿勢とその胸中に巡るものを示していると言えます。本展タイトル「濡れた地面はやがて水たまりに変わる」では、露出した「沈黙の中身」は地面に零れ、染み込む隙間を失いやがて溢れていきます。過去への思いを抱きながら、現在を揺るがず見つめる村越の視点を通じて、見知った地方の風景の中に新たな拡がりを窺うことができるでしょう。

村越としやは1980年福島県須賀川市生まれ。2003年に日本写真芸術専門学校を卒業。東京に拠点をおきながら、2006年以降故郷を被写体に選び、静謐でありながら力強い風景の中に、そこで過ごした自身の記憶をなぞるように継続的に撮影を行っている。2009年、東京・清澄白河に自主ギャラリー「TAP」を設立。主な個展として、「timelessness」コニカミノルタプラザ(東京、2008年)、「uncertain」新宿ニコンサロン(東京、2009年)、「草をふむ音」福島空港(福島、2012年)、「火の粉は風に舞い上がる」武蔵野市立吉祥寺美術館(東京、2014年)など。主な受賞歴に、日本写真協会賞新人賞(2011年)、さがみはら写真新人奨励賞(2015年)。東京国立近代美術館、サンフランシスコ近代美術館に作品が収蔵されている。

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