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ケリス・ウィン・エヴァンス

会期:2018年4月13日 – 25日
会場:草月会館1F 草月プラザ 石庭「天国」(東京)

タカ・イシイギャラリーは4月13日(金)から25日(水)まで、東京赤坂の草月会館1F草月プラザにてケリス・ウィン・エヴァンスの個展を開催いたします。国内過去最大規模の個展となる本展では、イサム・ノグチ作の石庭「天国」を舞台に、床面から天井まで達する、表面がフィラメント電球で覆われた光の柱の作品を中心とした、大規模なインスタレーションを発表いたします。

ウィン・エヴァンスは、ネオンを用いたテキスト作品に代表される、文学、映画、美術、天文、物理など幅広い分野における先人達の先駆的な試みを引用した作品や、内包された物質と非物質という両義性により人間の知覚を問い直す、光や音を用いた立体作品で知られています。人という主体が知覚する経験や行為をも物理的な作品とみなし、作品を展示する空間やその空間の運営主体である組織のありようも作品の一部と考えるウィン・エヴァンスの姿勢は、理論・慣習・教育によって強固に形成された世界の輪郭を、豊かな知性をもって拡張する行為だといえるでしょう。

ウィン・エヴァンスの求知心の対象は、表象文化のひとつである演劇にも及びます。なかでも神事に起源を持ち、具象を徹底して排することで物語の情景の生成を観客に委ねる「能」に大きな関心を寄せています。昨年テート・ブリテン(ロンドン)のデヴォーン・ギャラリーズで展示された大型ネオン作品「Forms in Space … by Light (in Time)」(2017年)は、能楽師の所作を示した図を引用した作品でした。

本展においてウィン・エヴァンスは、イサム・ノグチ作の石庭「天国」に3本の光の柱と複数の松の木を配します。まるで呼吸をするかのように緩やかに明滅を繰り返す光の柱は、石庭のタンブル(音色)を浮かび上がらせるテンポを生み、また能舞台に倣い石庭の適所に配される松の木は、その有機体としての存在から時間の「質感」を喚起します。石庭は作品を展示するための単なる会場ではなく、ウィン・エヴァンスの作品を装置として、ある種の舞台へと転換されます。この石庭/劇場では、知覚についての瞑想、演劇というメディウムが扱う夢想と可能性が演目となるのです。

協力:一般財団法人草月会、獺祭

ケリス・ウィン・エヴァンスは1958年スラネリ(ウェールズ)生まれ。現在ロンドンを拠点に活動。主な個展として、タマヨ美術館(メキシコシティ、2018年)、テート・ブリテン・コミッション(ロンドン、2017年)、Haus Konstruktiv(チューリッヒ、2017年)、Museion(ボルツァーノ、イタリア、2015年)、サーペンタイン・サックラー・ギャラリー(ロンドン、2014年)、Kunsthall Bergen(ベルゲン、ノルウェー、2011年)、バラガン邸(メキシコシティ、2010年)、カスティーリャ・イ・レオン現代美術館(2008年)、パリ市立近代美術館(2006年)などが挙げられる。主なグループ展として、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017年)、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2017年、2003年)、モスクワ・ビエンナーレ(2011年)、愛知トリエンナーレ(名古屋、2010年)、「万華鏡の視覚:ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより」森美術館(東京、2009年)、横浜トリエンナーレ(2008年)、イスタンブール・ビエンナーレ(2005年)などに参加。

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