EXHIBITIONS

今井 智己 「Remains to be seen」

会期: 2017年11月18日(土) – 12月22日(金)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
オープニング・レセプション: 11月18日(土) 18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、11月18日(土)から12月22日(金)まで、今井智己個展「Remains to be seen」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーで4年ぶり、3度目の個展となる本展では、2014年以降に撮影された作品群から約12点を展示いたします。

今井は、写真を通じて「見ることとは何か」という問いに絶えず真摯に向き合ってきました。日々眼前に広がる世界を見つめ、被写体そのものの存在感に惹きつけられるように視線が自然と赴くものを捉えながら、今井は常に見るものと見えてくるもの、意識と無意識、自己と他者との視線の狭間を丁寧に感じ取り、その時、その場所と対峙しています。

視覚的な記憶をくまなく閲覧できるアーカイブが自分のなかにあるとしたら、まずはじめに、そこにはまだないものを選ぶ。次に、そこにはおさまるべきところがないものを選ぶ。自分が撮る写真は、記憶の棚におさまりようもなく床にこぼれ落ちたものです。
これといって分類名のない時間や場所の、とるに足らないありふれたもの。それらへの信仰告白のような態で、棚を前にして、収蔵庫の床からしずかに写真をひろいあげ続けているのかもしれません。
秩序立って記憶されていくものと忘れられていくもののあいだ。アーカイブとゴミ箱のあいだ。わかるものと関心がないもののあいだ。
それを知っている。見たことがある。でも名前がない。言い当てることもできずにわからないままのその記憶にはただ、あとすこしでわかるという予感だけがある。そういう写真を撮っていると思っています。

2017年9月 今井智己

代表作『真昼』(2001年)や『光と重力』(2009年)に続く日常的な風景への眼差しは、本作においても変わらぬ力強さをもちながら、より親密な視点へと膨らみを増し、意識を向けなければ流され見過ごされてしまいそうなものまでも、今井は手のひらに大切に掬い取るように写真に収めていきます。「Remains to be seen」というタイトルには、日常に溢れる「とるに足らないありふれたもの」に一筋の視線を注ぐ今井の想いと、分かりそうな予感はあるけれど分からないままのものを拾集し、それらの光景の収まるべき場所を自身の記憶の中に探していく様が窺えます。視覚の対象として映るものだけでなく、対象が内包する積層された時間や記憶をも見通し包括的に理解しようとする作家の視線は、その写真を見る個々人の記憶を呼び起こし、見ることの普遍性を提示しているかのようです。

今井智己は1974年広島県生まれ。1998年東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。『真昼』や『光と重力』など、街路や森、部屋といった日常的な風景ながらも静謐さを湛えた作品を発表。また近年では、第二次大戦時、異なる立場で写真に携わった写真家たちの仕事を丹念に追い、過去の記憶を、現在と切り離されたものとしてではなく、いま現在に寄せて来るものとして自らの視線を寄せた「In Their Eyes」(2016年)や、福島第一原発から30km圏内の数カ所の山頂から原発建屋にカメラを真っ直ぐに向けて撮影した「Semicircle Law」(2013年)などの作品を発表している。主なグループ展として、「いま、ここにいる」東京都写真美術館(東京、2017年)、「19th DOMANI・明日展」国立新美術館(東京、2016年)、「メグロアドレス」目黒区美術館(東京、2012年)、などに参加。サンフランシスコ近代美術館、東京都写真美術館に作品が収蔵されている。

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