EXHIBITIONS

マリア・タニグチ

会期:2017年4月21日(金) – 5月20日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 東京
オープニング・レセプション:4月21日(金)18:00-20:00

タカ・イシイギャラリーは、4月21日から5月20日まで、マリア・タニグチの個展を開催いたします。日本での初個展となる本展では、新作の絵画と彫刻作品を展示いたします。5月には本展覧会のカタログを刊行予定です。

タニグチは、絵画や彫刻、映像、インスタレーションなど多様なメディウムを用いて作品を展開し、社会的・歴史的文脈を踏まえ空間や時間の探求を行なってきました。作家が2008年より継続して制作している、ブリック・ペインティングと呼ばれるレンガの壁を描いたような絵画作品「Untitled」シリーズは、無数の矩形のセルから構成され、グラファイトで縁取られたセルの内側はグレーや黒色で塗られています。一つ一つのセルを手作業で仕上げるこの丹念な制作プロセスが、絵画の表面に僅かな変化と複雑なパターンを生み出しています。ブリック・ペインティングは様々なサイズで制作されていますが、その多くは数メートルの規模に及んでおり、作品に建築的要素を与えています。こうして絵画そのものがモニュメンタルな存在として展示空間にたち現れてくるのです。本展ではブリック・ペインティングの大型作品1点と共に、同シリーズの新作である小ぶりの絵画12点を展示します。

近年、多くの現代美術作家が「圧縮」という概念に興味を持っており、それは昨今科学者らが成功した水素の金属変換にみられるような有形物に留まらず、データや時間といった無形物の圧縮も含みます。現代社会は情報テクノロジー(IT)に大きく依存しており、それは二進法の電気信号の膨大な蓄積により構成される大容量記録媒体によって成り立つものですが、このシステムは大規模な量子コンピュータの実現によって近い将来、過去のものとなるでしょう。タニグチの絵画はそのシンプルな形態からミニマリズムとの関連性をみることができますが、同時に記録装置をその技術的意味合いにおいて具現化しており、人類の進化の歴史的意味について触れていると言えるでしょう。

本展でタニグチは、「ジャワ・プラム」(ムラサキフトモモ)と呼ばれるインド・東南アジア原産の硬い木材から作られた新作の彫刻群も展示します。これらの巨大な彫刻に象られた「I」と「O」の文字は、電子機器のインターフェースの仕組み(インプットとアウトプット)への謎めいた言及です。タニグチはブリック・ペインティングを自らの芸術的実践全体の根幹を成すものとし、その他の作品は同ペインティング作品の反射もしくは屈折だと言います。彫刻の新作も例外ではなく、接触の瞬間をインプット/アウトプットと捉え、それを一見時代錯誤にみえる木彫と融合させることにより、自身の作品の新たな可能性を探っています。

マリア・タニグチは1981 年ドゥマゲテ(フィリピン)生まれ。2015年にヒューゴ・ボス・アジア・アート賞を受賞し、2009年にはLUX Associate Artistsプログラムに参加した。近年の主な展覧会に、「History of a Vanishing Present: A Prologue」ミステイク・ルーム(ロサンゼルス、2016年)、「Afterwork」パラサイト(香港、2016年)、「Global: New Sensorium」カールスルーエ・メディア芸術センター(カールスルーエ、2016年)、「The Vexed Contemporary」ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート・アンド・デザイン(マニラ、2015年)、第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ、QAGOMA(ブリスベン、2015年)がある。作品はM+(香港)、バーガー・コレクション(香港)、カディスト・アート・ファンデーション(サンフランシスコ/パリ)、QAGOMA(ブリスベン)、K11アート財団(上海)などに収蔵されている。

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