EXHIBITIONS

荒川医 「Tryst」

会期:2017年2月10日(金) – 3月11日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 東京
オープニング・レセプション:2月10日(金)18:00-20:00

タカ・イシイギャラリー東京は、2月10日から3月11日まで、パフォーマンス・アーティスト荒川医の個展を開催いたします。タカ・イシイギャラリーにおいて5年ぶり3度目の個展となる本展では、5台の自立式LEDスクリーンに映し出される具体美術協会の作家5名の絵画作品が演じる、ミュージカル形式の新作インスタレーション作品を発表いたします。

荒川のパフォーマンスは現代美術作家や美術史家をはじめとする、多彩な人々との共同作業により生まれます。彼らが演者としてパフォーマンスに参加することもあれば、彼らの作品そのものがパフォーマンスに登場することもあります。 荒川はまた、観客を即興的にパフォーマンスに巻き込むことによって、観客を受動的な鑑賞者から積極的な行為の主体に転化し、演者と観客との間の境界を無効にします。西洋近代思想における個人主義を基盤とする現代美術において荒川は、他の作家らとの共同作業と観客との共同作業の交差する点を自身の作品とすることで、「私」という主体の檻から作品を解放することを企図しているといえるでしょう。

荒川は、過去に高橋アキ(ピアニスト)とサージ・チェレプニンと共同し、詩人・作曲家であり、実験工房のメンバーの一人である秋山邦晴に関する詩やオブジェ、音楽を用いた作品「城の眼/青頭巾」(2013年)を制作しました。また、具体メンバーの人間関係について語ったインタビューの文章を音声化し、その音声をバックミュージックに、具体の実物の絵画作品が車輪に載って踊る作品「See Weeds」(2011年)を制作しています。このように、荒川は他者とのコラボレーション、そして観客とのインタラクティブな関係を開拓した実験工房、具体、フルクサスなどの先人達を筆頭に、日本美術史に登場する数多くの前衛芸術家たちを自身の作品の主題として扱ってきました。近年では、70年代からアンダーグラウンドで流通していた個人情報を隠蔽するマニュアルをもとにしたセス・プライスの作品を引用し、インターネットによって変革した社会状況を描いた作品「How to DISapear in America」(2016年)など、現代社会が抱える問題を主題におくパフォーマンス作品を多く手掛けています。

本展で発表される新作は、荒川が定期的に発表する絵画とパフォーマンスの関係を制度批判的な視点で捉えた作品で、LEDスクリーン5台に映し出される既存の絵画作品が演じるミュージカル形式のインスタレーション作品です。各スクリーンには、2011年の作品「See Weeds」で荒川がパフォーマンスに使用した具体作品が1点ずつ映し出され、それらが会話し、歌うことで物語が展開します。引用される具体の絵画作品はどれも1959年頃に制作されたもので、この時期は、具体にとってフランスを中心に「アンフォルメルの日本における一例」として広く海外へ紹介され始めた転換期にあたります。この新作を通して荒川は、具体のグローバルな戦略を、現在のアート・マーケットを象徴するアート・バーゼルと関係させ、批判精神を持った劇場の中で再検証します。また、本作品における荒川の試みには、デジタル化され引用される絵画を通して、インターネット社会が絵画にどのような影響を与えるのかを問いかける「Social Network」の視点、そして世界的な視野での現代美術史における日本の現代美術の文脈を考察する「Another Modern History」の視点が含まれているといえるでしょう。本作では、作曲にデビット・ザッカーマン、共同作詞にダン・ポストンが参加しています。インスタレーションで使用されるオリジナル曲はすべて英語によるものですが、日本語の訳詞が映し出されます。

荒川は1998 年よりニューヨークを拠点に活動。主なパフォーマンスおよび展覧会に、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017年6月)、ルートヴィヒ美術館(ケルン、2017年)、ベルリン・ビエンナーレ(2016年)、Museum Brandhorst(ミュンヘン、2015年)、光州ビエンナーレ(2014年)、ホイットニー・ビエンナーレ(ニューヨーク、2014 年)、カーネギー・インターナショナル(ピッツバーグ、2013 年)、第55 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展、グルジア館(2013 年)、テート・モダン(ロンドン、2012年)、第30 回サンパウロ・ビエンナーレ(2012 年)、ニューヨーク近代美術館(2012 年)などがある。

Press Release Download