EXHIBITIONS

吉野英理香 「NEROLI」

会期: 2016年7月9日(土) – 8月6日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
オープニング・レセプション: 7月9日(土) 18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、7月9日(土)から8月6日(土)まで、吉野英理香個展「NEROLI」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの2度目の個展となる本展では、2011年から2014年に撮影された作品群から、約20点を展示いたします。

吉野は、時間や環境の抽出を経て形成され、その広がりによって我々のうちになにかを呼び起こす複雑な香りに、自身が向き合い続けてきた写真のあり方を重ね、この度発表する作品群を「NEROLI」というキーワードのもとにまとめました。

「Neroli(ネロリ)」は、ビターオレンジの花から抽出されたオイルのことです。フランス語で、ビターオレンジを意味するBigaradeをつけて、Neroli Bigaradeとも言う。学名は、Citrus aurantium。樹齢20年以上の木に咲く開花したばかりの花から抽出したNeroliは、花の蜜に、木の皮や、葉の香りが入り混ざった複雑な香りがします。私が撮影するのは、エモーションや、ときに衝動的だったりしながら、被写体を見つめて、シャッターを切ります。イメージ(像)が、印画紙上にスーッと浮かび上がり、瞬間が永遠になる。時間を集めたようなNeroliは、アロマテラピーとして気体となって空中で香り、白く美しいビターオレンジの花を想起することができる。写真の中に、パッションや偶然性、そして、掴むことのできない大切な、かけがえのない瞬間を見てみたいと思っています。

2016年5月 吉野英理香

2010年以降、吉野は主にカラー作品に取り組んでおり、2011年に発表された作品集『ラジオのように』を経て、本展で発表される作品ではより一層成熟したカットの数々を見ることができます。北関東を中心に撮影されるスナップに加え、鏡の反射像を意図的に映し込んだものや、何枚も同じ写真をプリントして並べ再撮影を行ったものなど、写真家自身が作り上げた小さな虚構の世界が現実と入り混じり、その作品世界は一層豊かな読み込みを喚起するものとなっています。

本展の開催と同時期に、作品集『NEROLI』が刊行されます。

【新刊情報】
吉野英理香 『NEROLI』
赤々舎刊(2016年)
販売価格: ¥5,400-(税込)
ハード・カバー、72頁、掲載作品55点、H 23 x W 27.2 cm

吉野英理香は1970年埼玉県本庄市生まれ。1989年から写真の制作を開始し、1994年に東京綜合写真専門学校を卒業。在学中には写真家・鈴木清らの影響を受けながら制作を続け、90年代半ば以降はいわゆるストリート・フォトグラファーとして、多数のモノクロ作品を発表する。2010年からカラー作品の制作を開始。都心から関東北部で撮影される作品は、見る者をその独特の作品世界に引き込む新たな魅力を湛えている。主なグループ展に、「Eleven & Eleven: Korea Japan Contemporary Art 2002」省谷美術館(ソウル、2002年)、「Black Out: Contemporary Japanese Photography」ローマ日本文化会館(ローマ、2002年、以後パリ、東京に巡回)、「Nonchalant」4-Fギャラリー(ロサンゼルス、2004年)など。主な個展に、「ICE Echo Wave」銀座ニコンサロン(東京、1995年)、「Enoshima Zero Meter」Works H.(神奈川、1996年)、「Max Is Making Wax」ビューイングルーム四谷 ユミコ チバ アソシエイツ(東京、2001年)、「Eleanor Rigby」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川、2008年)、「Just like on the radio」Port Gallery T(大阪、2011年)、「Digitalis」タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京、2012年)など。

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