EXHIBITIONS

杉浦邦恵 「Little Families; 自然への凝視 1992-2001年」

会期:2016年1月30日(土) – 2月27日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 東京
作家来日オープニング・レセプション:1月30日(土)18:00-20:00

タカ・イシイギャラリーは、 ニューヨークを拠点に活動する杉浦邦恵の個展「Little Families; 自然への凝視 1992-2001年」を開催いたします。杉浦は、60年代にはカラー写真、70年代にはキャンバス上に写真とアクリルを塗付した<写真-絵画>シリーズや、写真の断片を併置させたフォト・コラージュなど、40年以上にわたって写真による多様な表現を提示し続けてきました。タカ・イシイギャラリーでの2度目の個展となる本展では、1990年代に制作されたフォトグラム作品を紹介いたします。

子猫の書類
二匹の猫は暗室の感光紙の上に一晩中ほっておかれた。朝、感光紙は露出され、定着された。その過程は7晩、繰り返された。そして「子猫の書類」となった。

1992年5月

フォトグラムは、80年代から現在に至るまで杉浦が続けてきた代表的なシリーズの一つであり、作家の変わらない制作主題である時間、偶然によって自然に導かれる現象との巡合性と、それを記録する事実性を顕著に見ることのできる作品群でもあります。本展で展示されるフォトグラム作品「The Kitten Papers(子猫の書類)」には、一晩の子猫たちの瞬間の動きや眠りの痕跡からなる持続した時間の記録を見て取ることができます。また、作品「Hoppings(飛び跳ねる)」における蛙や「Snails」における蝸牛などの予測できない動物たちの動きが生んだ像は、「自然と私の合意で、作品が出来た。」と杉浦が語るように、自然の偶然性が導いたイメージとの巡合によってのみ得られるものです。ネガティヴとポジティヴの二種類の像に分かれるフォトグラムは、それぞれが光を遮る同じ「もの」の影でありながら異なる印象を与えることで、「もの」のイメージを生み出した事実が鑑賞者のあらたな想像力を掻き立てます。

フォトグラム作品を制作するために作家が選んだのは、光、感光紙、光を遮るモチーフとなる動植物や日用品、イメージを定着させる薬剤のみであり、最小限の機材と技術でイメージを生み出すミニマルな手法により制作を展開しています。モホリ=ナギやマン・レイが取り組んだこの技法を継承し、さらに作品の成立をモチーフの側に委ねることによって、杉浦は抽象的なフォルムの連鎖や重なりから即興的かつ構築的にコンセプトを視覚化しています。これらの作品は、極めて現代的でありながら、未完と空白の美しさ、いつしか消え去る束の間のものの移ろいの繊細な感覚を呼び起こします。

杉浦邦恵は1967年シカゴ美術館附属美術大学学士課程修了。在学中にコンセプチュアル・フォトグラフィの先駆者、ケネス・ジョセフソンに師事する。その後ニューヨークへ移り、現在に至るまで同地を拠点に活動。主な個展として「Time Emit」Visual Arts Center of New Jersey(サミット、2008年)、「Dark Matters / Light Affairs」カリフォルニア大学リチャード・L・ネルソンギャラリー&ファインアーツコレクション(デイヴィス、2001年)などがある。これまでに、第23回東川賞 国内作家賞(2007年)、Artist‘s Fellowship, New York Foundation for the Arts(1998年)を受賞。作品は、テート・モダン、デンバー美術館、ボストン美術館、ニューヨーク近代美術館、東京都写真美術館に収蔵されている。

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