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細江 英公

細江英公 「薔薇刑」#32 1961年 ゼラチン・シルバー・プリント © Eikoh Hosoe

1933年山形県生まれ。51年に富士フイルム主催「富士フォトコンテスト」学生の部で最高賞を受賞。52年、東京写真短期大学(現東京工芸大学)に入学後は、デモクラート美術家協会を主催する瑛九と交流を深め、既成概念に挑む独自の芸術観を確立する。54年同大卒業後、56年に初の個展「東京のアメリカ娘」を開催。57年には、写真評論家の福島辰夫の企画による「10人の眼」展に参加。これを機に、川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高とともに写真家集団・セルフ・エージェンシー「VIVO」を立ち上げ、当時主流の「リアリズム写真運動」に対抗し、より「私的」かつ「主観的」な写真表現を展開した。

細江は、キャリア最初期にあたる50年代より人物の描写に重要な成果を残し、60年の個展「おとこと女」では日本写真批評家協会新人賞を受賞。63年発表後に大きな反響を呼んだ、三島由紀夫をモデルに撮影した『薔薇刑』では日本写真批評家協会作家賞を受賞している。70年、秋田の農村を舞台に舞踊家の土方巽をモデルにした『鎌鼬』で芸術選奨文部大臣賞受賞。98年紫綬褒章授受、2003年英国王立写真協会創立百五十周年記念特別賞を受賞、07年旭日小授章受章、08年毎日芸術賞受賞、10年文化功労者選出、17年旭日重光章受章など、その功績は国内外で高い評価を獲得している。