EXHIBITIONS

トーマス・デマンド

会期:2007年11月10日(土) – 12月 8日(土)

タカ・イシイギャラリーでは11月10日(土)から12月 8日(土)まで、ベルリンを拠点に活動するトーマス・デマンドの2度目の個展を開催いたします。ここ近年では、ヴェネチアのプラダ財団(2007)をはじめ、アイルランドの近代美術館 (2007)、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー(2006)、ニューヨークの近代美術館(2005)にて個展を開催しています。日本国内においては京都国立近代美術館(2006)、大阪国立近代美術館(2006)、東京国立近代美術館(2005)にてグループ展に参加しています。

彫刻家としての教育を受けたデマンドは、紙を使って精巧に作り上げた「彫刻」を、フィルムや写真を媒介として写し出しています。デマンドはこの「彫刻」自身を展示したりはせず、常にイメージのみを発表しています。この独自のプロセスから受ける新たな特色として「空虚さ」をあげることができるかもしれません。作品の題材、それ自体は政治的、社会的な意味を持つものであるにもかかわらず、その形は単純化され、そのためイメージからは空虚な印象を強く受けます。デマンドはそうした作品の背景を隠したりはしていませんが、それら作品のタイトルは匿名的で、「Shed」 や 「Lightbox」 といった何にでもあてはまる様なものとなっています。

本展では、近作の写真作品とともに、「Yellowcake」(ウラン鉱粗製物の意) と 「Camera」 という35mm フィルム作品をあわせて発表いたします。 「Yellowcake」 はウラン加工処理の過程に直接言及したものですが、それはまた間接的に、ローマのニジェール共和国大使館が入手したその原料を、米国と英国がイラク戦争において、イラクの所有している大量破壊兵器であるとして主張した出来事にも言及しています。過去の作品でデマンドは、写真に撮られた題材をもとに制作をしていましたが、今回はデマンドがその大使館を訪れたという自身の記憶にもとづいて「彫刻」が制作されました。 その後、6分間にわたって大使館内装の照明がついては消えるという状況を撮影したフィルムが制作されました。この大使館の内装の「彫刻」を映像によって細部にわたってご覧いただけます。それとともに謎めいた写真作品 「Shed」 (2006)も展示いたしますので、 是非この機会にご高覧くださいませ。