ARTISTS

山口 勝弘

Katsuhiro Yamaguchi, “Jet No.2”, 1965, iron and canvas, 138 x 89 x 50 cm, 57 x 112 x 48 cm

山口勝弘(1928年-2018年)は東京生まれ。1948年に抽象画を発表して以来、新しいテクノロジーを取り入れた前衛的な表現で、日本におけるメディア・アートの先駆者として知られている。1951年9月に瀧口修造をメンターとして東京で結成された総合芸術グループ「実験工房」の中心作家として活動。同時期には光学的原理に基づく造形作品「ヴィトリーヌ」シリーズを制作し、インタラクティヴ・アートにつながるような先駆的な作品を発表。1960年代には、アクリル樹脂、光、金網、布張り、ワックスなど様々な素材を取り入れ、天井や壁面を用いた環境的な展示方法へと展開し、作品と環境、それを見る鑑賞者を包括する「環境芸術」という新たな概念を提示。1965年には、ニューヨーク近代美術館の「新しい日本の絵画と彫刻展」、1967年のグッゲンハイム国際展や1968年のヴェネツィア・ビエンナーレなど、国際展でも高い評価を得る。1972年には、「ビデオひろば」を結成。社会的なコミュニケーションツールをして、新しいメディアの可能性を追求するなど、ビデオアートの第一人者として活躍する一方で、研究者、教育者として『不定形美術ろん』(1967年)、『環境芸術家キースラー』(1978年)、『冷たいパフォーマンス ポスト・モダン講義』(1985年)、『メディア時代の天神祭』(1992年)などの書籍を出版。筑波大学では22年間にわたって後進を指導した。近年は、個展「メディア・アートの先駆者 山口勝弘展 「実験工房」からテアトリーヌまで」神奈川県立美術館鎌倉(2006年)、大規模な巡回展「実験工房展 戦後芸術を切り拓く」神奈川県立美術館鎌倉など(2013年)がある。