EXHIBITIONS

畠山直哉 「光のマケット」

会期:2009年2月20日(金) – 3月21日(土)
オープニング・レセプション:2009年2月21日(土) 18:00 – 20:00

タカ・イシイギャラリー 京都では、2009年2月20日(金)から3月21日(土)まで、畠山直哉展を開催致します。これまでも美術館での展覧会などで紹介されてきた本シリーズは、本展で展示予定の未発表作を含む20点をもって、シリーズとしての完結をみます。本展終了後には、本年7月7日からの「アルルの出会い2009」(Recontres d’Arles 2009)へのシリーズ全点の出品も決定しております。

畠山直哉は、これまでも「都市」をテーマに現代世界の在り様そのものを根底から問うような作品を発表し続けてきました。「都市」の鏡となり、また時には「都市」そのものを侵食するようにして、私たちが現実として受けとめているものに対して疑問符あるいは中断点をさしはさんでゆく作品群は、比類のない評価を確立しています。夜の都市を照らす外灯の、発光そのものまでを写真の中で再現するという「光のマケット」は、写真が「像」であることを超え、「現実」そのものを代理することで、写真というメディウムそのものの在り方にも新たな姿を与えるようです。写真史上のいかなる作品も到達したことのない、新たなイメージの論理を求める本シリーズを、この機会に是非ご高覧下さい。

都市の灯りを写真に撮った。プリントを眺めていたら何かが足りなく思えた。そこで写真をライトボックスに載せてみた。裏から照らされて、全体がぼんやりグレーに光った。「違う」と思った。そこで同じ写真を透明のフィルムに焼き、それをプリントの裏にあてがってみた。すると灯りの部分だけが光るようになった。当然だ。だがこの当然さは生まれて初めて目にするものだった。写真の特徴である変換や比喩が無化された、現実のたんなるトートロジー。この小さくなった灯りを「模型(マケット)」以外の言葉で呼ぶことはできないと思った。
畠山直哉